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映画 『正しく生きる』(☆☆☆)

また随分と哲学的(しかもエラい根源的)なタイトル。
そして、そのタイトルに負けず劣らず理解に苦しむ内容の作品である。

そもそも、「正しく生きる」とは、何に対して「正しく生きる」のか。
自分に対してなのか、
社会に対してなのか、
組織に対してなのか。
全部が一致していれば、それは幸せなことだが、
今作を観る限り、往々にして自分に対して正しく生きることが、
社会として正しくないことに繋がる、ということである。
正しく生きる資格の無い社会の人々に対して無差別テロを仕掛ける美術家(岸部一徳)。
カノジョの出産を聞きつけて、少年院から脱走してきた男。
姉が「あの地震」の犠牲者になったのではと心配になり、
少年院から飛び出してきた男。
その姉は姉で、自分らしい生き方を求めて旦那の元から去り、
娘を虐待しながら(じゃ連れてくんなよ…)快楽を貪るように都会で暮らしている。
彼らは、少なくとも自分に対して正直に生きているわけだが、
社会正義からは明らかに逸脱しているわけである
(まぁ、法の運用の問題もあるわけだが…)。
こういうのを見て「自由を履き違えてる」と言う人もいるだろうが、
自分を殺して社会や組織にとって正しい生き方をしても、
例えばブラック企業だったら最悪命まで搾り取られかねないわけだし、
社会正義のために生きることだって、
世が世なら「一億総火の玉」とか言われて、ポンコツ戦闘機に乗って、
敵艦めがけて特攻かけなきゃいけなったりするわけである。

時あたかも、無人機に放射性物質をくくり付けて、
総理官邸に不時着させた事件があったばかりである。
美術家のやろうとしたことと、
規模こそ違えども同じようなことをやってのけたわけである。
彼とて、彼自身、あるいは彼の属する組織にとっては正しいことだったかもしれないが、
社会的に許される方法論で無いことは明らかであろう。
また、「シーシェパード」のやってることも、
一面においては社会正義(動物保護)だが、
一面においては社会正義に反する(器物損壊や暴行、傷害)わけで、
「正しく生きる」ことは個々人間や組織間、あるいは社会に中で、
軋轢や争いを生む原因となるわけである。

正しければ、何をやってもいいわけではない。
しかし、正しくもないことを唯々諾々と行えるほど、
人間は強くできていない(もちろん、それも全人類ではないだろうが…)
と、ワシは思うのである。
邦画ではあるが、正直日本人には相当難解な内容の作品と言わざるを得ないだろう。
ただし、人間としてこういうことを考えておく必要は、
当然にしてあると思うわけで、
そのきっかけになるかもしれない作品ではある。

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