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映画 『ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実』(☆☆☆)

ベトナム戦争終戦から40年。
テレビでも大々的にではないが、関連の番組が放映されており、
ワシもそのうちのひとつを観たが、
ベトナム戦争こそ「現代戦」の先駆けであると言えるだろう。
南ベトナム軍内部の内通者による情報漏洩については、
現代戦の象徴とはいえないが、
前線から日々送られてくる戦場の惨状は、
世界世論を動かすのに充分だったことは、
今作はもちろん歴史そのものが証明している。
今は、実質的には軍が情報操作して入るものの、
ネットの影響によりゲリラやテロリストが直接世界中から兵隊を集められたり、
無人兵器が戦場を闊歩するという、
40年前以上にラジカルな状態を現出している。
今作は、そもそも終戦当時に制作されたものであり、
大部分がインタビューで構成されている。
一番の問題は、作中で語られている教訓が、アメリカで生かされていないことであろう。
「9・11」では、初めて大々的に自国の国土を侵されるという悲劇を知った。
その時、今まで自分たちのしてきたことについて少しでも反省があれば、
それに続くアフガニスタンやイラクでの泥沼はなかったように思われる
(時の政権が軍需産業や軍産複合体に踊らされただけとも言えるが)。
そういう意味では、アメリカもベトナム戦争について、
キチンと総括していないといえるだろう。

翻って日本である。
安保関連法案については、どれほどの法律であるかさえ、
国民の多くは知らされていない。
憲法に抵触するのか、交戦権の有無、決定権者…。
賛成派も反対派も、両極端なことしか言わないため、
議論が深まらない上に肝心の情報は下々までちっとも降りてこない
(降りてくるのを待ってるという態度も、ダメといえばダメなんだろうが…)。
もっと言えば、多くの日本国民が「お上の勝手でしょ」という態度でいるため、
相互不信になりながらも相互不干渉という乖離した状態を、
なんとなく続けていることである。
この状態で安保関連法案が通ったら、間違いなく済し崩しになるが、
これまでもそうやって重要な決定が済し崩し的になされてきたことを、
我々はすっかり忘れてしまっているのである。
40年の時を経て、今作が上映された必然性を、
我々日本人こそ噛み締めなければならないのではないだろうか。

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