映画 『ズタボロ』(☆☆☆)
作家ゲッツ板谷の自伝的小説の映画化『ワルボロ』(未見)の続編。
前作で親友になったヤッコらとともに暴走族入りするが、
ヒエラルキーをイヤというほど思い知らされ(ようするに「かわいがり」を受ける)、
強かったヤッコは壊れてしまう。
ヤッコと違う高校に入った板谷(作中ではもっぱら「コーイチ」)は、
そこでまたワル仲間を作り、相変わらずケンカの日々。
とはいえ、暴走族からは逃げられないコーイチは、
親族のツテを頼り代紋を背負って彼らと対抗しようとするのだが、
そこここでケンカに明け暮れていたため、
やがてヤクザ同士の抗争に巻き込まれそうになるのだ。
前作の(おそらく)ほとんどケンカのバイオレンス的な作品ではなく、
今作で恐ろしく存在感を出してるのはコーイチの母親。
冒頭の「かわいがり」のシーンでも、
その周囲をママチャリに乗って回りながら様子を伺っている。
よく考えたらなかなかの根性で
(義兄弟がヤクザだと、そういう風になるのかねぇ)、
しかも気絶したコーイチを無事に連れ帰ったのもお母さん
(それは後でわかることなのだが)。
結局今作も基本ケンカなのだが、
次第に母親の偉大さに気付かされていくという、
若干いい話要素も盛り込んでいる(もちろん、メインは友情話なのだが)。
ザンネンなのは、佐藤二朗演じるヤクザ。
雰囲気ぶち壊しとまでは言わないが、
少々おちゃらけが過ぎるように思われた(まぁ、息抜き要素なんだろうが)。
でも『クローズ』(コッチも未見)とかみたいに、
徒党vs徒党の抗争モノと違って、
基本的に不利な状況(数的不利)で、ボロボロになりながらも這い上がっていく、
しかも実録的作品ということでそれなりに意味のあるケンカに仕上がってるのは、
今作のポイントなのではないだろうか。
また、この国では大昔から職業差別のはびこってるわけで、
今作でもテキ屋やヤクザがその対象になっている
(お母さんが忌避する理由は当然わかるけどねぇ)。
なかなか這い上がっていけない現実もあるわけなので
そういう要素がないことは百も承知な上で、
その辺の話も盛り込んでもらいたかった。
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