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映画 『ザ・トライブ』(☆☆☆)

「この映画の言語は手話である。字幕も吹き替えも存在しない」
という注意書きで始まる今作。
登場人物はほぼ全員聾唖者、つまり耳が聞こえず、言葉を発することもできない。
しかし、行われていることを見ていけば、
言葉が無くともそこで行われていることは、なんとなく伝わってくる
(そうでなくては、興行的に成り立たないだろうが…)。

主人公セルゲイ(と言っても、スタッフロールでそう流れるだけ)は、
聾唖者の寄宿学校に入学する。
寄宿学校ということは全寮制ということなので、
生活してる生徒の中でいろいろな決め事や派閥のようなものが存在する。
セルゲイは、その中の「悪の組織」に所属することになる。
彼らは、学外で強盗や売春を行い、上下秩序が存在する。
入学当初戸惑ったセルゲイだったが、腕が立つためか、
次第に組織内でのし上がっていく。
しかし、おそらく男女関係がそれまでなかったためか、
組織内の「商品」である女性(あまり良い表現ではないがご容赦願いたい)に
好意を寄せるようになる。
そして、彼女の歓心(≒カネ)を買うために、窃盗や強盗を働き、
自分のポッケにそのカネをねじ込み
(本来、上位者にみかじめ料を納めなければならないのだろう)、
そのカネで彼女を抱く。
しかし彼女は断固としてキスを許さない。
この辺りに彼女のセルゲイに対する気持ちが現れてるのだろう。
やがて彼女がイタリアに行くことになる(理由はワシにはわからんかった)。
彼女と別れるのがつらいセルゲイは、
彼女のパスポートを奪い、破り捨ててしまう。
当然、組織の他のメンバーにボッコボコにされるのだが、
それが破局的ラストへの引き金となる。

彼らの世界というのは、単純に言うと音が無い。
それは健常者と共に生活していく上で、いくつもの不便を強いられる。
言葉が通じないことはもちろんだが、
音が聞こえにことによって危険に気づくことができないケースがある、
ということである(そのことがラストとも関係してくるのだが)。
トラックがバックすると、だいたいブザーが鳴る。
健常者はそれで巨大な物体が動いてくることを察知できるが、
聾唖者は気づかないまま轢かれてしまう。
彼らにとっては、視覚や触覚が非常に重要と言えるだろう。
そういう彼らだからこそ、身体接触を伴う「セックス」という行為は、
健常者のそれとまた違う意味合いがあるのではないだろうか。
彼女の、セルゲイに対するチグハグな行動がそれを物語ってるように思われる。

物語の中では、ちゃんと会話が行われている。
手話を知る者なら、その会話を聞き取ることもできようが、
本当に伝えたいと思えば意志は伝わるのである。
言葉に頼るばかりが対話ではないし、
言葉によらず相手に何かが伝わってしまうこともあるのである。
ただし、発信者の意志と異なっている場合が、ままあることを、
発信者も受信者も肝に銘じておかなければならないだろう。

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