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映画 『悪党に粛清を』(☆☆☆)

イタリア製西部劇を「マカロニウエスタン」って言うけど
(そのノリで日本産西部劇に「スキヤキウエスタン」てつけたのは、
やっぱりセンスが今ひとつアレだと思うんだけど)、
北欧製西部劇のことは、なんて呼んだらいいですかねぇ。

その答えはまぁ措くとして、デンマーク人監督が、
主役を演じる同国人マッツ・ミケルセンを念頭に置いて作った西部劇。
移民の国アメリカらしく、
彼が演じるのはデンマーク系アメリカ人ということになるだろう。
7年の単身赴任(正確には兄と一緒だが)の末、
ようやく土地を手に入れた彼ことジョンは、本国から妻子を迎え、
新天地で親子仲良くやっていこうと、意気揚々と駅馬車に乗り込んだ。
しかし、同乗者が悪かった。
同乗者はムショ帰りで、
しかも一帯を仕切るならず者デラルーの弟とその連れだったのだ。
久々にシャバの空気を吸ったその弟は、
寡黙なジョンの妻に手を掛けようとした。
馬車の中でもみ合いになるが、息子の首にナイフを突きつけられ、
ジョンは何もできず駅馬車から放り出される。
なんとか駅馬車を追いかけたジョンは、
道中で殺された息子を拾い、さらには御者を殺され留まっている駅馬車にたどり着く。
弟の連れを殺し、さらに弟を追い詰めるジョン。
あっさり復讐は成就されるが、当然兄デラルーが黙ってるはずがない。
町長に圧力をかけ、保安官まで動員して、ジョンを追い詰めるのだった…。

この後、デラルーに兄まで殺され、ジョンの復讐の炎は嫌が上にも燃え盛るのだが、
合間合間にデラルーの弟の奥さんというのが現れる。
彼女は先住民に舌を切られて声を失い、
今夫も失ったのだが、デラルーはずっと実は彼女のことを狙っていて、
弟の死を実は歓迎していた、という一歩間違えれば昼ドラ並みのドロドロ系。
そこに、復讐の鬼と化したジョンが現れるのであるが、
彼女がなまじ喋れないために、彼女の感情は観客に丸投げである。
どうして、そんなにデラルーがキライなのか。
なぜ本来の仇であるはずのジョンの方に心が傾いたのか。
その辺り全く説明なしである。
そういう意味では賛否の分かれる作品ではあるが、
なまじ喋れると逆に明快になりすぎて既存の西部劇と差別化が図れない、
という意味ではむしろ今風であると評価できるだろう。
クライマックスも、むしろ西部劇らしくない泥臭い戦いになっているが、
ジョンがほぼ一人で戦っていることを考えれば、致し方ないところだろう。
とはいえ、結局ジョンと女が結びつく決定的トリガーがはっきりしないので、
ラストがやや唐突な印象を受ける。
らしくない西部劇としては評価できるが、
わかりにくいといえばわかりにくい作品。観客を選ぶ作品と言えるだろう。

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