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映画 『パージ』(☆☆☆)

「鳴かぬなら 捨ててしまおう ホトトギス」が『姥捨て山』とするならば、
今作は「鳴かぬなら 殺してしまう ホトトギス」と言っていいだろう。

「万民を救う法など存在しない」というのがワシの考え方です。
だとすれば、為政者から見てより多くの者の利益を守ろうとする。
だからこそ、少数者である若者だって、
選挙に行ったり、デモやったりして声を上げないと、
人数も、資金力もある年寄りにかないっこないのである。
若者は、自らの価値をもっと切実にアピールする必要があるのである。
さもなければ、「生産力のない貧乏人は、殺してもいい」的な、
今作のような世界が本当に現出したっておかしくないのである
(当然、今作の考え方は相当飛躍しているが…)。
だいたい、今作の世界観は実際日本でも決して笑えないわけである。
隣人トラブル、気に入らない上司、福祉問題、1%vs99%…。
卑近なところから世界全体を覆わんばかりの格差問題まで、
ある意味いっぺんに解決できるわけである
(もちろん、全体の生産力は減り続けるだろうが…)。
ただし、それ一辺倒では、
今作は単なるFPSみたいな殺し合いしかなくなってしまうので、
ある家(しかも、実はこの法律のおかげで儲かっている家)が、
のうのうとやり過ごそうと思ったら、
その中の一人が仏心出したばっかりに、
このとんでもない無法地帯に投げ出されてしまうという、
えげつない話に仕上げているのだ。
あとは、アメリカ映画お得意の「家族の物語」に仕立てて、
B級アクション映画みたいなエンディングを用意するだけのお手軽な仕事で、
クライマックスもひと捻りあるもののまぁ読めてしまう部類のもの。
後日談のえげつなさもなかなかのもので、
「汝の隣人を愛せよ」っていう言葉がむなしく聞こえるほど。

とはいえ、いろんな意味で非常にアメリカらしい映画で、
「力なき正義」というものについて改めて考えさせられる作品であり、
現実に直面した時の小市民の立ち回り方を改めて思い知らされる作品。
今作を観て身につまされるものがあるあなたは、
現状にうっ屈してるってことかも…。

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