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映画 『デッド・シティ2055』(☆☆☆)

『パージ』シリーズが、法律によって時間を区切って無法地帯を作るように、
今作ではテーマパークのように場所を区切って無法地帯を作る。
フィクションの中でストレスを発散するにしても、
少々安易な気がしないでもないが、
今作も要素としては面白い部分がある。
例えば、この「ヴァイス」という無法地帯テーマパーク内の、
いわばヤラレ役である「レプリカント(人造人間)」である。
もともと、近未来モノということで、
彼女たち「レプリカント」には人工知能が搭載せれているのだが、
その研究は実世界ではすでに禁止されていることになっている。
おそらくは、「シンギュラリティ」への反動によるものだろうし、
クローン技術も使われているようなので、
宗教倫理的にも問題があるということになったのだろう。
しかし、一方で軍事転用できれば兵士を無限に生産することもできるわけで、
この無法地帯の真の目的は実世界では研究できない技術を、
研究し試験運用する実験場としている、ということだろう。
しかも、そこから逃げ出した「レプリカント」のケリー(アンビル・チルダース)は、
実は妻を失った研究者が妻を再生するために作り出したもので、
それ自体違法なもんだから、
この無法地帯の製作者であるジュリアン(ブルース・ウィリス)につけ込まれて、
彼に一度は協力せざるを得なくなったのである。
言ってみれば、逆『トランセンデンス』とも言えるわけで、
その辺の絡みが物語にそれなりの深みを与えているのである。

しかし、ここまで興味深い設定を作っておいて、
出来上がったのがフツーのアクション映画というところがいかにもザンネン。
『トランセンデンス』みたいな小難しいを作って欲しいわけではないが、
もう少しケリーの内面を掘り下げてみたら、
もっとこう濃ゆいものができたんじゃないだろうかなぁ…。
まぁ、フツーのアクション映画として楽しむ分には、
ダメな作品ではないんだが、とにかく勿体無い作品である。

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