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映画 『パージ:アナーキー』(☆☆☆)

前作『パージ』では、わりと中流の家族が仏心を出したために巻き込まれた、
という内容だったが、
今作は「パージ法」がある中での庶民の生活みたいなものを、
大づかみに描いた作品と言える。
「悪法も法なり」という言葉があるように、
例えば戦後日本において「東京裁判はとんだ茶番だ」みたいな論議はあるが、
戦後はまさに「東京裁判」が前提になって成り立っているのである
(ワシも天皇が訴追されなかったという意味では「とんだ茶番」だと思わなくもないが)。
同様に今作に登場する「パージ法」がとんでもない法律であったとしても、
今作が描く社会はそれが前提になってしまっている社会なのである
(当然フィクションなわけだが…)。
だから、パージ対策用防犯グッズが飛ぶように売れたり、
「パージ」終了後武器メーカーやセキュリティ関連の株が値上がりしたり
(以上は『パージ』で描かれていた)、
「パージ」に対応した商売、
例えば余命いくばくもない老人や病人が、
金持ちの慰み者として殺される契約を結んだり、
金持ちの慰み者とするべく弱者を生け捕りにしたり、
といったことが当然生まれるわけである。
さらに言えば、そんな無法状態にしてしまったら、
手痛いしっぺ返しを食らっても彼らを取り締まる法律が停止してしまってるわけだから、
相応の覚悟を伴うわけである。
この機に復讐を考えたりする者だって現れるし、
そういう意味では普段の生活にも一定の緊張感が生まれそうなものである。

と、ワシなりに深読みしてみたわけであるが、
結局のところフィクションはフィクションである。
こんな法律が国際社会やアメリカ社会から無批判に受け入れられるはずはないわけだし、
老子の「無用の用」ではないが、
足元の土以外は無用だと言って取り払ったら足元の土も崩れるわけで、
縮小均衡しか生まないことは容易に想像がつく
(だから、人口減少社会に入った日本には一定の危機感があるわけだが)。
『パージ』の時にも書いたが「万民を救う法律など存在しない」のである。
貧困層のための財政支出が増えているから、
それを殺して減らそうという考え方は、
いかにも高額納税者の考えそうな発想ではあるが、
それも結局はガス抜きにしかならないのである。
現代社会に対する一つのアンチテーゼとしては面白いが、
暴力を野放しにしている以上革命勢力にも自由を与えているわけで、
今作ではその辺りもフィーチャーしてるという意味では
バランスが取れていると言えなくもない。
アメリカは、暴力をお手軽に体現できる銃が溢れる社会である。
その光と影を描いているという意味では、
アメリカ社会に対する風刺という意味で価値のある作品と言えるのではないだろうか。

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