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映画 『戦場ぬ止み』(☆☆☆)

辺野古移設問題と沖縄知事選、さらに総選挙という、
激動の2014年の沖縄を主に基地反対派から見たドキュメンタリー。
しかし、本来は戦後を語るのではなく、
薩摩藩によって日本に編入された話からするのが本筋であり
(もっとも、多くの日本人がこの話をしないのは、
沖縄と日本が一体であると信じたい人々であるから)、
そういう意味では少なくとも150年以上「占領」されていると考えることができるわけで、
中国と朝鮮の2000年史に近いものがあるのかもしれない。

今作は、いちおう賛成派(らしき人)の意見も盛り込んでいるという意味では
それなりにバランスが取れてはいるが、
多くが基地反対派の人々の話である。
最後の方で、反対派の85歳のおばあが救急車搬送された時に、
反対はリーダーの一人が警官に向かって
「お前の家を突き止めて街宣車かますぞ」とかいうようなことを言った辺りで、
「警官は『制服を着たヤクザ』だけど、反対派の人たちも『チンピラ』じゃないか」
と思って冷めてしまいました。
そこまで追い込まれてるのは充分理解できますが、
こういう感情のぶつかり合いでは何も解決しない
(だから、何も進展しないまま現在にいたってるんだろうが)と思うのです。
「お前たち(警官)だって沖縄県民だろう」
という反対派住民の言い分もよくわかりますが、
彼らは制服を着た時点で個性を喪失しているのです。
それが制服の効用なのです。

今作は今年3月までの模様で終わっているが、
現状事態は多少変化している。
辺野古の工事は、政府により1カ月の中断に入った。
一面において沖縄側優位で物事が進んでいるように思われるが、
阿倍晋三はアメリカと約束してしまったわけだし、
調布飛行場のこともあるので普天間存続の危険性は
その周辺の住民もよく心得ているだろう。
もちろん、同じ論法で辺野古に滑走路を作らせるわけにはいかないわけなので、
辺野古の住民の危機感もいや増しているだろうが、
お互い譲れないことに変わりはない以上、
このインターバルがもたらす効果は薄いと言わざるを得ないだろう。
阿倍晋三は、そんなに国防においてアメリカが大事だというなら、
自分の選挙区のおひざ元である岩国辺りに誘致すればいいと思う。
一方、対中国という視点から見れば、
切れ目ないシーレーン構築の観点から言えば、
沖縄から基地を全部撤退させることはやはり不可能と言わざるを得ないだろう。
確かに、沖縄の現状には同情の念を禁じ得ない。
一方で、アメリカ統治時代に銃を突きつけられて
土地を強制徴用された事実を突きつけられると、
「武器なき戦い」という言葉の虚しさを感じる。

国防に米軍が必要なのか、
自衛隊だけでやれるのか、やるのか、
その資力がこの国にあるのか。
資力が「ない」と断じて安保条約に調印した吉田茂から65年。
今日という日のために、この国はそれについて考えて来なかったツケを、
沖縄が一手に引き受けているという事実を、
戦後70年という今改めて考える必要があるだろう。

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