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映画 『クーデター』(☆☆☆)

アメリカ得意の「家族」を軸に据えての、
パニック映画的な作りには少々ガッカリではあるが、
内容的には全くもって笑えない、世界のリアルが色々と盛り込まれている。
まず、有史以来存在すると言われる「水利権争奪戦」である。
現在の日本でも、世界の様々なミネラルウォーターを飲むことができるが、
中にはそれを汲むために現地民ともめたり、なんてこともしばしばだそうだ
(まさに今作は、政府が勝手に結んだ水道インフラ網計画に対し、
民衆が危機感を感じて起こしたクーデターが発端)。
日本でも、中国人が水源地を買い漁ってるという話がチラホラあったりする。
「水と安全はタダ」と思ってる日本人にとって、
今作の内容は相当衝撃的かもしれない。
現地のアメリカ大使館が襲撃、爆破され、主人公家族は、
まさに異国(ベトナムと国境を接するという設定)に孤立無援状態。
日本だって、中国辺りで一時は何されるかわからないような状況だったし、
これからだってどうなるかわかったものではないのである。
そういう中での「安保法案」である。
一面において法制の充実は、今作のような状況に即応するために必要と言えるだろう。
しかし裏を返せば、こういった法の整備が、
他国を刺激し、先に書いたような「何されるかわからない状況」を
生み出す原因になる可能性だってあるのである。
国防のあり方を、改めて考える必要に迫られていることは確かである。
そして、家族を助ける一見旅人風な男が、実は諜報組織の一員で、
国益のために暗躍しているという話。
これは、一時CIAが世界中で戦争の火種を大きくして、
兵器産業を潤わしてた名残りとも言えるだろう。
彼らのやっていることは、返せないとわかっている国に無理やり金を貸し付け、
首が回らなくなったところに介入して政権を傀儡化するという、
実にエゲツないマネである。
南満州鉄道もそれに近いことがあったらしく
(アメリカの鉄道業者が共同経営を持ちかけた)、
それを国家として拒否したためにアメリカに睨まれることになった、とも言われている。
共同経営を受け入れていたら、
あるいは「あの戦争」は無かったかもしれないが、
もしかすると今以上にアメリカの影響を強く受けていた可能性だってあるのだ。
「外交」というのは、その辺りのさじ加減をよく吟味しなければ
ままならないものなのだろう。
結局、をのさじ加減を間違えたのが大日本帝国であり、
今もそのさじ加減がよくわかってないのが外務省と言えるかもしれない。

現在、今作の舞台にほど近いタイでも怪しげな動きが続いている。
しかも、工場進出も少なくなく、在留邦人も少なくない。
今作のような事態が起こった時、自衛隊は積極的に動くことができないのが
現状の法体系である。
個別的自衛権の範囲をきちんと定義付けしてもいないのに、
いきなり集団的自衛権の話をしている現在の「安保法案」論議には疑問を感じるが、
9条が足かせになっていることもまた確かである。
孫子も書いているように「まず勝つ(=不敗の基礎を築く)」ことを考えるべきだろう。
そのために結局米軍に頼るというならそれはそれで仕方ないし、
自衛隊の装備を本格化するというならそれなりの予算規模にする必要が出てくる。
確実に言えることは、「無抵抗主義が通用するほど、世界は甘くない」
ということである。
今作のお父さんのように、時には手を汚す必要だってあるということを
肝に銘じておくべきだろう。

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