映画 『ソ満国境 15歳の夏』(☆☆☆)
「文部科学省選定」な映画の時点でそれほど期待してなかったわけだが
(じゃあ観に行かなきゃいいのに、という話はワシの中には無い)、
それほど悪い作品ではなかった
(もちろん、あの「いい話」仕上げな空気感は好きにはなれないが…)。
考証学的にもツッコミを入れたい部分がいくつかあるし
(終戦4日後に国民学校の教官が「国家を正すのも国民の役目」とは、
正直言わないと思うし、もしそういう思想の持ち主なら、
もっと早い時点でまず特高に目をつけられていたように思われるが…)、
反戦色の濃い作品でもある。
とはいえ、関東軍がそそくさと前線を放棄し(おそらく転進命令が出たんだろうが)、
その引き換えに勤労奉仕(屯田兵的なニュアンスが濃いが)として
15歳の少年を最前線送り
(そういう認識が皆無だったとしたら、関東軍も外務省も度し難いものがあるわけだが)
にしたという史実が元になっている話であり、
その少年たちに「無敵の関東軍」と語らせながら、
現代福島の仮設住まいの15歳の子どもたちにダブらせてるのは、
「安全神話」にどっぷりと浸ってしまうという、
日本人の進歩の無さを皮肉的に描いているのがなかなかに手厳しい。
若者を犠牲にして既得権者たる老人が生き延びようとする構図は、
現代においても見られる光景であり、
考えようによってはよくも文部科学省がお墨付きを与えたもんだな、
とも思える作品ではある。
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