映画 『罪の余白』(☆☆☆)
女って、やっぱ恐いわぁ。
ワシみたいな「永遠のクソガキ」には到底かないません。
ただ、今作のその「恐い女性」木場咲(吉本実憂)は、
一見するとサイコパスなのでかなわない以前に、
できればお近づきになりたくないレベルの悪女ですから、
まぁなんとか回避できるかなぁ、と思いますが…。
こういう狡猾な敵を相手にする時のアプローチは、だいたい2つしかありません。
•法を無視して私刑を下す((例)『ハングマン』シリーズ)
•決定的な証拠をつかんで無理やり法の網にかける
今作は、大別すると後者の部類に入るだろう。
しかし、そこに至るまでそれなりに戦略を立てないと、
こういう狡猾な女狐はなかなか罠にはかかってくれないからねぇ。
そりゃ、仕掛ける方も命がけってわけです。
とはいえ、結末がこの2つのアプローチに早々に絞られた時点で、
結末は正直どうでもよくなってしまいました。
そして、新たな楽しみ方を見つけました。
それは、「木場咲」の人間性を掘り下げていくというものです。
先ほど、彼女は「一見」サイコパスに見えると書きました。
サイコパスの特徴の一つに、「平然と嘘をつく」というのがあります。
しかし彼女、作中で一箇所だけ本音で話すシーンがあります。
本命の芸能プロダクションにスカウトされるシーンです。
それこそ、彼女ほどの「役者」なら、
いくらでも相手にとって印象の良い受け答えができそうなものですが、
あえてなのかどうなのか、そういう受け答えはしません。
そして、プロダクションのエライ人にケチョンケチョンにされ、
挙げ句の果てに「私とは仕事したくないみたいですね」と言うのである。
彼女に関していろんな解釈ができるシーンではありますが、
ワシは「彼女はウソはいつかバレる」と思ってるのではないか、と感じたわけです。
そうなると、本当の意味ではサイコパスではないわけで、
そういう意味でワシは「一見サイコパス」と書いたわけですが、
最後まで罪悪感の発露が無かったところを見ると、
ワシは彼女を買い被っていたように思います
(しかし、このプロダクションのお偉いさんの言葉、なかなかしみますねぇ)。
ズバリ、「木場咲」が主役の映画と言って良いでしょう。
ただし、『悪の教典』もそうだが、彼らサイコパスの深層には、
どうしても踏み込めないというか、あるいは闇が深すぎるのか…。
イジメ問題とかの切り口でも語れなくはないが、
それにしては重々しくないし、だいいち今作の本質ではない。
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