映画 『天使が消えた街』(☆☆☆)
実際に起こった事件がベースになっている映画だが、
実際にはそれを映画化しようとした今作の監督本人の製作日記みたいな作り。
監督には監督のこだわりがあるのは十分わかるが、
それが市場のニーズに合ってるかどうか判断する興行側や、
実際の事件だけあってそれを追っている警察や記者も入り交じり、
しかも製作に行き詰まる監督の心象風景もありと、虚実ない交ぜな出来。
ただ、それがうまくいってるかというと、正直ねぇ…。
結局事件自体が迷宮入りしてるみたいだし
(8年も裁判して無罪になったら、もうそう簡単に新しい犯人も挙げられないだろうし)、
そうなると映画そのものもオチのつけようがない
(はじめっからガッチガチの法廷劇にするテもあるだろうが、
そうなると差別化も難しいしねぇ…)。
結果、その間で懊悩する自分を描くことで作品化されたのが今作、
とワシには見えたのだが…。
その懊悩ぶりは、親権争いで身辺そのものが慌ただしい上に、
ややこしい事件の映画化という難事を抱え、
しかもロクなアイデアも浮かばない(監督自身のこだわりはあっさり却下されるし)。
取材先の女の子と仲良くなって現実逃避したり、
果てはドラッグにまで手を出すわ、怪しい男の家から盗みを働くわで、
相当追い込まれている。
ラストで実質お蔵入りを宣言されて、
少なくとも作中の主人公はホッとしたことだろう。
正直、実際の事件のことはどうでもよくなってる作品です。
そういうのを期待して観に行くとガッカリすること請け合いである。
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