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映画 『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(☆☆☆☆)

今作の主人公ゲオルク(クリスティアン・フリーデル)は、
厳密に言えば主義主張を持たない存在(いわゆる「ノンポリ」)ではない。
彼は、「自由主義者」と言うべきで、
作中で語られる彼の行状を見る限り
ドイツ人というよりはフランス人的な気質に近いように思われる
(あくまでも個人的な感想)。
だからこそ、自由を抑圧するような全体主義を標榜するナチなどは、
許せない存在になっていったのだろう
(単純に身近な人間がしょっ引かれたり、住民の晒し者にされたりして、
義憤にかられただけと言えなくもないが)。
彼自身は最後まで単独犯であると主張した(実際そうなのだから仕方ないのだが)が、
実はナチスとしてはそれでは都合が悪いのだ。
この事件を何がしかの口実にしようとでも考えていたのだろう。
しかし、いかに拷問や自白剤にかけたところで、
火の無いところに煙は立たないわけで、
彼の事件は結局大事にされないまま終戦近くまで拘禁されることになる。
しかし、彼の言動は彼を直接取り調べた刑事警察の長官を動かした
(かどうか本当のところはわからないのだが)。
彼はゲオルクより遡ることひと月ほど前に、「ワルキューレ作戦」
(軍部内によるヒトラー暗殺計画、トム・クルーズ主演の『ワルキューレ』でもおなじみ)
に連座したとされて絞首刑に処される。
もしかしたら、処刑された彼も「生きにくさ」や「息苦しさ」を
当時の軍部内で感じていたいたのかもしれない。

翻って日本である。
「あの戦争」当時、いやその少し前ぐらいから、
この国もずいぶんと「息苦しい」感じだったように思われる。
そして今も、蒙昧なる民衆の「圧倒的多数」が選んだ人間が、
独裁的権力(と、少なくとも左寄りの人間たちは思っている)を手に入れ、
「あの戦争」の頃と似たようなスローガンを掲げ、
この国を「あの戦争」にも似たような危険な道に進ませようとしている。
しかし、その原因を作ったのは、
ナチスドイツを生んだ時と同様、蒙昧なる民衆と、
その蒙昧さに付け込む政府なり政党なのである。
ゲオルクは、共産党員だった友人に、
「(この国を変えるのは)将軍や政党に任せるべきだ」と言われたが、
ゲオルクにとってもうそれらの手段は迂遠過ぎると思えるほど、
当時の状況はひっ迫していたのである
(ある意味、今そう思っているのが、いわゆる「イスラム国」なのかもしれない)。
それに比べたら、「SHIELDs」なんてかわいいもんである。
そもそもこの国には、良くも悪くも「天皇制」があるので、
本気で国家転覆を考えようと思ったら、
国家全体を敵に回すぐらいの覚悟が必要になってしまうのだ。

ある意味、実に「いま」な作品。
やはり、「自由」とは与えられるものではなく、勝ち取るものなのであると、
思い知らされる作品である。

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