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映画 『エベレスト 3D』(☆☆☆☆)

このテの映画を観たら、まずこの言葉が思い浮かびます。
「無事におうちに帰るまでが遠足です」
たまに山に登ったり、無茶苦茶な日程の旅行をこなしてるワシにとって、
この言葉は金言と言うより座右の銘に近いです。
まして登山は、初めから降りることを想定して登らなければなりません
(スポンサーがいっぱい付いていれば、帰りはヘリコプターで、
なんて離れ業もできるんだろうけど…)。
今作は、商業登山が本格化した1996年に実際に起こった、
その商業登山チームの遭難が元になっている。
今作でも、商業登山の増加による登山道の渋滞を問題視していたが、
正直その原因を作った人間たちに心配されるいわれはないわけである。
彼らは、高いカネを取って能力がギリギリのヤツらの夢を
叶えさせてやるのが仕事だと言っていいだろう。
しかし、そんな能力ギリギリの奴らのために、
あらかじめ酸素ボンベを要所要所に用意してやったり、
危ないクレバスにハシゴで橋をかけてやったり、先行隊も命を張っている。
その上で、高地順応のために何十日もキャンプにち滞在するのである。
そりゃゴミも出るだろうし、なまじ高いカネ払ってるだけに
撤退する勇気を持てないヤツ(=正しい判断ができない)もいるだろう。
そういうヤツらの面倒をキッチリ見ることができて、
はじめてこういう商売は成り立つんじゃないだろうか。
そういう意味では、まだ今作の時期は黎明期であったのだろうから、
今作のような事象も少なくなかったように思われる。
作中で描かれている死者たちの屍を越えて、
例えば三浦雄一郎のような後期高齢者も登頂しているわけである。

しかし、やはり登山は片道切符であってはいかんのである。
帰ることも想定した計画を立て、
計画に狂いが生じたら躊躇なく撤退する勇気を持てなければ、
やはり山に登る資格はないと思うのだ(偉そうに言ってるなぁ、ワシ)。
今作の死者は、やはりそれが徹底できなかったわけで、
言い方は悪いが「死ぬべくして死んでいる」わけである
(そういう描き方をしている、とも言えるが)。
冒頭、
「人体はジャンボジェットが巡航するような高度で活動するようにはできていない」
と言っているが、まさにその通りだと思う。
それでも、世界最高峰エベレストには、征服欲をかき立てるものがあるのだろう。
その辺のテーマ設定は『アイガー北壁』に通じるものがある。
今作は、できれば3Dで観てもらいたい。
一歩踏み外せば、数百メートルの落差を持つ崖。
そして、そこを駆け上がってくる嵐。
3Dで観てこそ、世界最高峰の恐怖の一端に触れることができると言えるだろう。
そして、それを堪能してこそ、その山に飲み込まれていった彼らの
思いに少しは触れることができるのではないだろうか。
また、『ビヨンド・ザ・エッジ』(エベレスト初登頂のヒラリーを描いた映画)から
40年以上経過し、装備も格段に良くなっても、
人間の本質は何も変わらないということを、
改めて思い知らせてくれる作品でもある。

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