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映画 『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』(☆☆☆)

決して自分の身の上について語らなかった、
謎の写真家(と言っても、作品未発表なのだから写真家と呼ぶべきなのか…)
ヴィヴィアン・マイヤーの足跡を追うドキュメンタリー。
話の作りはNHKの『ファミリー・ヒストリー』っぽい感じ。
とはいえ、ホントに自分の身の上を語ってないので、
今作においても彼女の深い部分にはあまり迫れておらず、
知人たちの推測による部分が少なくない。

ワシが見るところ、写真界は男女差別が激しい(激しかったと言うべきか)
世界だったように思われる。
彼女は長身だったこともあり、男性的な風体で活動していたようであり、
またこれは作中でも語られているように、
男性に対する敵意があった
(幼少時に性的虐待があったのでは、と語っている友人も出ていた)ようである。
また、自分の作品に対するこだわりも強く、
母方の故郷であるフランスの現像屋に、
「私と組んで仕事しませんか」と申し出ている。
彼女は、その現像屋の腕を高く買っていたようである。
しかし、彼女はアメリカで活動していたこともあって、
この話は立ち消え(あるいは明確に断られた)となったようである。
彼女が作品を発表しなかった理由は、もしかするとこの辺にあるのではないだろうか。
その辺りで妥協をしたくなかったのか、
それともアメリカの現像屋にことごとく断られただけなのか、
とにかく、彼女の作品は生前世に出ることは無かったのである。
…、とまぁ、とにかく推測ばかりでしかレビューが進められないような作品なのである。

唯一伝わってきたのは、「ローライフレックス」というカメラの魅力である。
ワシも、デジタル一眼で楽しんでいるクチだが、
この「ローライフレックス」という二眼レフカメラは、
作中で「一種の盗撮カメラ」であると言っているのである。
ファインダーが上向きに大きく開いているのが特徴のこのカメラは、
一眼レフカメラのようにいちいちファインダーを覗かなくても撮影できるため、
被写体が身構えることなく、自然な表情が撮影できるのだという
(もっとも、彼女は被写体に対しても注文が多かったらしいので、
時としてその特徴が全く活きていないこともあったようだが…)。
ワシは、人を滅多に被写体にしないのでその辺よくわからないのだが、
基本的には許可を取らないと取ってはいけないと思っているので、
「自然な表情」というのを取ることはまずできないだろうな、とは思います。
道具としては確かに面白いと感じられる話でした。

ヴィヴィアン・マイヤーは、生前出会いに恵まれなかった、
不幸な人だったのかな、とは思いましたが、
写真作品はともかく彼女自身に対する踏み込みは甘い
(まぁいたしかたないのだが…)作品でした。

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