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映画 『完全なるチェックメイト』(☆☆☆☆)

「ガラスのチェスバカ」ことボビー・フィッシャーが、
世界チャンピオンボリス・スパスキーに勝つまでの話。
それにしても、ボビーは子どもの頃からメッチャ繊細。
よくあんな調子で2008年まで生き続けられたもんだよ、と思うぐらい。
とはいえ、陰謀史観に走るのは、家庭環境にあったのかもしれないね
(ユダヤ系でしかもイヤの周辺には共産主義者が集まってる)。
そのめんどくさい親を追い出してまで「静寂」を手に入れ、
チェスにのめり込み、史上最年少でグランドマスターにもあで上り詰めたものの、
そこにスパスキーが立ちはだかるのである。

お互い、盗聴が嫌いで、おそらく国の思惑などそっちのけで
ただ互いに優劣を決めたいだけなんだろうけど、
お互いに生まれた国が国であるがゆえに、
あの時代ではいろいろな思惑が絡んでしまう。
スパスキーはあまりそれを表には出さないものの、
ボビーは露骨にそれを表に出し、
果てはマスコミやチェス協会にまで噛みつく。
ある意味でボビーは生粋の「チェスバカ」なわけであるが、
それにしてはボビーは生臭いというか、
やれ「ソ連の選手と同じくリムジンで送迎しろ」だの、
やえ「オレを見に来てるんだったら、チケット収入の30%をよこせ」だの、
一面においてはちっとも「純粋」ではないわけである。
挙句に、後日談では完全に猜疑心の虜になって、
アメリカの意向を無視してスパスキーと再戦したり
(まぁ、この辺は純粋なチェスバカならでは、と言えなくもないが…)、
そのせいでアメリカで逮捕されそうになるとアイスランドに亡命したりと、
ホント、チェス以外ではただの偏屈である。
しかし、「天才とは何かが欠けているものである」という格言にしたがって言えば、
ボビー・フィッシャーは間違いなく「天才」であろう。
そして、チェスをやり続けても精神の破たんを迎える一方、
チェスを取り上げても精神が破たんするのでは、と考えると、
因果なモノにはまってしまったものである、と改めて思ってしまう。

久しぶりにスクリーンに登場のトビー・マグワイヤの熱演にも注目である。

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