« 「新・中央競馬予想戦記」 2016-01-17 | トップページ | 映画 『白鯨との闘い』(☆☆☆☆) »

映画 『水と風と生きものと 中村桂子・生命誌を紡ぐ』(☆☆☆)

日本は、どうやら科学技術と「ものづくり」で世界と張り合おうとしてるらしく、
「理系」の大学を優遇して「文系」の大学を統廃合しようと考えているようである。
ワシは、文系大学出身だが、別にそれ自体悪いとは思わない。
むしろ、国家として明確に戦略を打ち出すことは、
近来になく素晴らしいことだと思う。
ただし、たいていの場合日本ではこういった戦略が徹底されない。
正直、ここまで無尽蔵に近いレベルで大学を増やし続け、
「みんなホワイトカラー(労働者)にし(by安藤忠雄)」てしまったツケを、
例えば軽井沢でのバス事故のように現在払わさせられているわけである。

今作では、「生命誌」研究の第一人者である中村桂子女史の、
文系理系の垣根を超えた活動を追ったドキュメンタリーである。
彼女は、同じく文系と理系の垣根を超えて活躍した寺田寅彦と同様
(研究のフィールドは全然違うが)理系の、しかも化学者である。
そんな彼女が、「ゲノム」研究に触れてから、
生命の歴史=「生命誌」の研究にドップリ浸ってしまったというわけである。
彼女の夢であった「生命誌研究館」の設立や、
自然豊かな23区内にある彼女の自宅、
さらには「あの震災」以来入れ込んでいる宮沢賢治など、
戦前生まれとは思えないバイタリティあふれる活動を展開しているのである。

中国の連続ドラマ版『三国志演義』の冒頭に
「流れは、ある時は分かれ、そしてまた一つになる。その繰り返しである」
といったようなセリフがあった。
学問もまさにそうであるように思われる。
文系と理系、さらにその中でも細分化した様々な学問分野が、
今また統合されようとしているように思われる。
本当に隙間を埋める方法は、新しいものをその隙間に差し込むのではなく、
隙間と隙間が擦り寄ることだとも言える。
個々の学問分野間が、親和性をもってよ寄り合えば、
その隙間は埋まっていくだろうし、
そこからまた新しい分野が生まれてくるかもしれない。
総合大学こそ、そういう垣根を取り払い、
文理横断的な研究ができる場所だと思うのだが…。
文系だ理系だと、つまらない領地争いをするよりも、
それこそシェアすることで新しいものだって生まれてくるかもしれないのだ。
彼女のような、橋渡しのできる存在が、もっと増えてくると、
研究の世界ももっと面白いものになるに違いない。

« 「新・中央競馬予想戦記」 2016-01-17 | トップページ | 映画 『白鯨との闘い』(☆☆☆☆) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134965/63091287

この記事へのトラックバック一覧です: 映画 『水と風と生きものと 中村桂子・生命誌を紡ぐ』(☆☆☆):

« 「新・中央競馬予想戦記」 2016-01-17 | トップページ | 映画 『白鯨との闘い』(☆☆☆☆) »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ