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映画 『美術館を手玉にとった男』(☆☆☆)

米国内の美術館相手に、
30年にわたり贋作を寄贈してだましていた男を追ったドキュメンタリー。
「寄贈」であるから、彼の目的はカネではない
(だから広告には「善意ある贋作者」と書いているのだが)。
一種の、権威に対する挑戦と言えば響きは良いが、
だますことそれ自体が目的の、いわば「愉快犯」と言えるわけである。
美術館関係者や、果てはFBIまでが動き出して、
彼を検挙しようと動き出したが、
彼は金銭授受を行ってなかったがゆえに彼を摘発する法律が無かったのである。
そのうち、イギリスの記者が彼に興味を持ち、
彼を取材し始めたことから事態は思わぬ方向に転がって行く。
ある美術館関係者が、彼の作品(つまり贋作)を集めて個展を行うことにしたのである。
彼自身は、自らの贋作を「工芸品」と言い
(実際、作り方自体は悪く言えばかなり雑なのではあるが、
考えようによってはあの書き方であれほどのモノが作れるんだから、
実は相当なセンスがあるのかもしれない)、
個展にはやや懐疑的なのではあったが、
結果個展は、本人も登場して大盛況。
美術関係者からは、彼に「自分の名前できちんと作品を作るべき」
と言われるが、彼はそれをしようとはしないのである。
作中では描かれていないが、ワシからすれば、
彼ら美術関係者の発言はやや無責任と言えなくもない。
いくら絵画のセンスがあっても、ぽっと出の芸術家の作品に、
お前ら美術関係者は目を向けるのか?
確かに、彼は絵画にj関して「職人的」な技術を持っている。
しかし、おそらく彼は「芸術的」センスなど持ち合わせていないことだろう。
そういう人間の描く絵を「芸術」と果たして呼べるだろうか。
彼に向いた仕事がもしあるとしたら、「絵画修復」とか、
そういう「創造的」ではない仕事かもしれないが、
彼はある意味病んでいる。
つまり、この「贋作を作って寄贈してダマす」という行為によって、
生活の充足感を得てしまっているということである。
彼に、これに替わる生きがいを与えないと、
彼はこのまま燃え尽きてしまうかもしれない。
こういう人間にも生きがいを与えて輝かせるのが、
ある意味では「一億総活躍」ということかもしれないが、
アメリカのような国でもなかなかそうはなっていないわけだから、
日本ではもっと難しいかもしれないなぁ…。

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