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映画 『サム・ペキンパー 情熱と美学』(☆☆☆)

ロバート・アルトマン以来の映画監督が題材のドキュメンタリー映画。
『ワイルドバンチ』のような、昔の映画については全然詳しくない
ワシでも知ってるようなタイトル(しかも彼の代表作といわれる作品)を
撮っている方なので、当然ひとかどの人物なのではあるが、
先に挙げたロバート・アルトマンと同じく演者さんには非常に愛された方のようである。
対して、製作者泣かせ(あるいは製作者に泣かされる)で有名なようで、
その妥協を許さない作風から撮影期間の遅延(=製作費の高騰)は日常茶飯事。
当然、並々ならない量のフィルムを使い、
しかもそのことごとくが彼独特の感性によって撮られたものだったため、
編集にはずいぶんと苦労したようだ
(で、監督から見ると「編集にズタズタに切り刻まれた」作品になって出てくる)。
そういう中でも、先の『ワイルドバンチ』や『ゲッタウェイ』、
『荒野のガンマン』、『コンボイ』といった名作を生み出してるのだから
(監督は納得いかないところも多いようだが)、やはりひとかどの人物と言える。

一方で私生活は、酒とオンナ、果てはクスリと、
それこそ『ワイルドバンチ』以降じわじわと身を持ち崩していったそうで
(こういう人には、ホントは思う存分仕事をさせてあげるのが
一番の薬だと思うんだけどね)、
彼が生きていた頃はまだそれを社会がある程度受容していた
(もちろんアメリカでの話だが)というのも興味深い。
『戦場のはらわた』のような、
ある意味現代的なリアリティ路線も模索していたようだし、
編集者や製作者に恵まれていたらもう少し違う生き方もできたような気もするが、
その節目節目で身内や親友を亡くしたというから、
そう彼の心象風景は変わってなかったかもしれない。
「商品」としての映画と「作品」としての映画の狭間で苦悩した、
「妥協なき鬼才」の生きざまを見せつけられる作品ではある。

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