映画 『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(☆☆☆☆)
これから今作を観ようと思ってる方には、残念なお知らせです。
今作を観るには、最低でも高校の政治経済の授業が
ある程度理解できるぐらいの学力が無いとダメです。
確かに、作中で一生懸命かみ砕いて説明してはいるんですが、
それでもかなり専門的な経済用語の連発で
(これらの全てを理解する必要までは無いんだが)、
ある程度読み飛ばしていかないと本当について行けなくなる。
DVDになる時には、「池上解説」ぐらいあった方が良いかも…。
ちなみにワシは、『ドリームホーム』で
サブプライムローンの本質をある程度予習していたこともあって、
なんとかついて行けました。
あんな貸し剥がしみたいなことやってりゃあ、そりゃ焦げ付くわなぁ。
とはいえ、専門用語がわからなくても、
我々日本人なら身にしみてわかることもいくつかある。
例えば、「自分に降りかかるリスクは、多くの場合低く見積もっている」。
コレは、そのまんま東京電力に当てはまることだろう。
30m級の津波が福島第一原発を襲う可能性が指摘されていたにもかかわらず、
「安全神話」をタテに一顧だにしなかった結果がアレである。
リスクを甘く見て痛い目にあった、という意味では、
リーマンショックに劣らない大事件だったと言えるだろう。
また、世界を代表する格付け会社「スタンダード&プアーズ」が、
「よその会社(例:ムーディーズ)に仕事を取られたくないから」という理由で、
甘甘の格付けをしていたという事実。
jこの横並び意識などを評して、リーマンショック前後の欧米を
「ジャパナイズ」と言われていたのを思い出しました。
さらに「バブルは、弾けるまで誰もバブルだとは思わない」という言葉も
出てきたましたね。
これは、何週間か前の、それこそ池上さんの番組で言ってましたが
(コレで予習したからついて行けた、ともいえるが…)、
今作で勝ち組になった主人公たちは、「バブル」だと気づけたから、
荒稼ぎすることができたわけである
(しかし、彼らは市場の敗北に賭けていたわけだから、
勝ったからと言って諸手を挙げて喜べるわけではない、というのも印象的)。
ラストに流れるテキストの中で、
アメリカの金融界が全然懲りてないという話も出てくるが、
コレに関してもアベノミクス以前の「バブルアゲイン」指向
(アベノミクスもバブルアゲイン指向と言えなくはないが…)に似てるし、
この短い周期で歴史が繰り返しうる可能性があるという意味では、
やっぱり世の中の流れが相当早まってるな、と感じる。
いろんな意味で覚悟を持って観てもらいたい作品。
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