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映画 『ルーム』(☆☆☆☆)

つい先日、2年も誘拐監禁された人が救われたって話があったばかりなのに、
今作のこと誰も「不謹慎」とか言わないのは、
やはり単に「人が死んでないから」なんだろうか。
しかし、今作を見ると、生きてる方がある意味よっぽどむごいと思うんだが…。

今作を見て、学生の頃に英語の授業で聞いた(ような気がする)
「house」と「home」の違いを思い出したわけです。
ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)にとっては、
母親(ブリー・ラーソン)のいる場所が「home」であって、
いくら立派で安心できる場所でも母親の実家は「house」でしかないのである
(「house」はあくまでもハードウェアとしての「家」を指し、
「home」は「家庭」という意味に近いって、確か聞いたような気がするんだ)。
だから、母親が心労(あの辺の描写があいまいなのでなんとも言えないんだが)で
入院してしまうとやはり不安になってしまうわけだが、
その後の適応力の速さはさすが「こども」というべきであろう。

正直、誘拐の事実とか今作ではどうでもいい話なのである
(わりとあっさり事件自体は解決しちゃうし…)。
それよりも、母親の両親のジャック(孫に当たるわけだが)を見る目の違いだろう。
父の方は直視できないというのは、
ジャックの父が他ならぬ誘拐犯であることを知っているからであり、
「汚れた血が混じった」みたいに考えてしまうんだろうが、
それは自分の腹を痛めないからなのではないだろうか。
その点女親というのは、「自分の腹を痛め」て生んだ子どもである、
という自負があるから、精子の主が誰でも「自分の子」であるという風に
悪い言い方をすると割り切れてしまうという強みがあると思われる。

「夢のマイホーム」のためにいろいろと犠牲にしている、
日本のお父さんとかにできれば観てもらいたい作品。
大事なのは器じゃない、器の中身なのである。
「亭主元気で留守が良い」なんて言ってるオバハンたちに観もてもらいたいかな。

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