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映画 『エスコバル/楽園の掟』(☆☆☆☆)

コロンビアの国会議員を務め、貧困と戦った「麻薬王」パブロ・エスコバルが、
1991年3月末に刑務所入りするまでの話を、内側から描いた作品。
冒頭に書いたように、彼は「絶対悪」ではない。
確かに、麻薬取引や対抗組織、あるいは国家との抗争など、
彼の裏の顔は「悪」そのものである。
しかし、彼が麻薬取引に手を出したのは、
悪い言い方をすればそれが多くの民衆を貧困から救うための、
もっとも効率的な方法であったからなのである。
最近は、「フェアトレード」の考え方が進み、
途上国にも多くのカネが回るようになり始めたが、
この時代においては今だ途上国は搾取の対象であった。
その中で麻薬は、特に古くから「コカ」を常用していた中米の人々にとっては、
栽培も簡単でしかも大金を稼ぐ(その代償は非常に大きいわけだが)、
まさに「カネのなる木」だったわけである。

もう一方の主人公であるニック(ジョシュ・ハッチャーソン)は、
彼の姪と恋に落ち、気がつけば一族に列せられてしまうわけだが、
姪も彼の本性を知らなかったわけだし(まぁ、「死人に口なし」だからねぇ…)、
しかし一族に列せられたことでニックの家族まで巻き込んでしまうという、
悲劇的な展開を迎えるわけだが、
ニックだけのせいにするわけにも行くまい。
エスコバルの周囲で生きている者たちは、エスコバルの受益者なわけで、
彼の悪評がそう簡単に漏れてくることはあるまい。
そういう意味ではニックたちの調査不足と言えなくもないわけだが…。

彼は、言ってみれば先進国の欲望が生んだ徒花である。
それを、制御がきかなくなったからと言って討伐するというスタイルは、
後の中東への対処の仕方とそう変わらない。
麻薬はいけない。
しかし、麻薬でしか稼げないようにしていることは問題ではないのだろうか。
先進国は、自国の貧困問題とある意味同様に世界の貧困問題と
向かい合って行く必要があるのではないだろうか。
再び「エスコバル」を生み出さないためにも…。

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