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映画 『マネーモンスター』(☆☆☆☆)

正直、今作の犯人(ジャック・オコンネル)は、
株取引がギャンブル同然の代物だとわかってないので、全然感情移入できない。
彼のやってることは、競馬新聞で
「競馬に絶対はある。今回は○○で決まり!」って書いた競馬新聞の予想に
マル乗りして大金をスッったからってその競馬新聞社に殴り込みかけるようなもので、
競馬をやってるワシから言わせると「バカじゃないの?」ってレベルだし、
実際恋人にもそうなじられる。
だから、ワシとしては彼の顛末自体はどうでもいいわけである。

むしろ、いくら犯人に脅されたからって、
この顛末を全部垂れ流しにてることであり、
テレビの影響力を他ならぬマスコミが実は測りかねてることとか、
タックスヘイブンの問題でも明らかになったことだが、
グレーな企業活動を取り締まるのは実はそう簡単ではないこととか、
作中の番組のカメラに映ってない部分の方がずっと面白い。
株価操作だって、ばれなければ犯罪にならないわけだし
(今作では完全にマッチポンプ的なことをやってるわけで…)、
金融資本主義ではある意味常套手段なわけである。
ソコに最終的には切り込んで行くわけであるが、
それをやるのがチャラい司会者ゲイツ(ジョージ・クルーニー)なわけで、
序盤は基本的にやられっぱなし。
しかし、その話術は健在で、後半には犯人を抱き込み、
株価操作の実態に詰め寄るいっぱしのジャーナリストに変身する。
日本のアナウンサー崩れには、絶対にマネできないよねぇ、コレは。
顛末を最後まで撮影し続けるカメラマンもそうだが、
非常にプロ意識が高い。
視聴率を稼ぐためには手段を選ばない、という意味ではえげつないが、
ワシ自身も「面白ければたいがいの事は許す」と言ってるように、
作中に出てくる視聴者や野次馬も、結局同様の心理なのである。
そして、事切れたら元の生活に戻ってしまうわけだから、
そりゃテレビ局は視聴率獲得に躍起になるわけですよ。
こういうプロ意識の高い人は、高給取りでもOKだと思いますよ、実際。

とはいえ、ラストはあの流れからすると切ない結末ではある。
結局テレビ局だけが焼け太りするような結果なので、
犯人はうまく使われてしまっただけである。
それこそ、「オレは悪くない、こいつらに騙されたんだ」
(広告にも書いてある、作品序盤の犯人のセリフ)と叫びたくもなろうというものである。
非常にアメリカンなエンタテインメント作品。

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