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映画 『いしぶみ』(☆☆☆☆)

今年は「時期モノ(=戦争モノ)」が映画界においては地味である.
ワシ的にはたぶんこの1作のみであろうが、
今作にしたところで1944年制作のテレビ番組のリメイク。
まぁ、オバマ大統領が来た後なのでそれなりの感慨もあるし、
元ネタはワシが生まれる前に制作されているので、
確かに知らない話も多かった。
しかし、実にいたたまれないのは、生き残った人々の思いである。
彼らは戦後70年を過ぎた現在に至るまで、
「なぜ生き残ったのか」ということを原罪のように抱えているのである
(そういう思いが、年寄りたちを黙らせてきた一面もあるわけだが…)。
彼らも、そして犠牲者になった若者たちも、
「あの瞬間」までは戦時下とはいえ普通の生活を送っていたのである。
その模様を綾瀬はるかが朗読して、今作は進んでいくわけだが、
その断絶感は「あの震災」に比するものといえるだろう。
それは、当然原子爆弾の破壊力を物語るものであり、
原子力の脅威を如実に示すものであるはずなのだが、
今や政府の上層部は「再稼働」に向けてなに振り構わず、である。
「あの震災」で手痛いしっぺ返しを受けた、というのにである。

とはいえ、やはりこの地味な扱いである。
確かに、『シン・ゴジラ』は明快でわかりやすくて、しかもポジティヴだけど、
そういうことだから日本人にはいつまで経っても
「想像力」ってものが育っていかないんだと思うんだが….

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