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映画 『葛城事件』(☆☆☆)

現代から見るとやや古臭い、「昭和」を感じさせる葛城清(三浦友和)一家。
しかし、DV、リストラ、認知症、無差別殺人と、起こる事件はいたって平成で、
それに誰もまともに対処できずに家族が崩壊していくわけだが、
基本的にはぶれない清に周りの人間が振り回されている。
清にしたところで、「ぶれない」と言えば聞こえは良いが、
閑散とした金物屋に日がな座り込み、おそらく退屈な日々を送っている。
住宅市場が活況だった頃は羽振りも良かったのだろうが
(それで念願のマイホームだって手に入れたんだろうが)、
今はおそらくその余禄で細々と生活してるに違いない
(プライドの高い清のことだから、奥さんを働かせようなんて考えるはずがない)。
そういう両親を見て、長男は何とか折り合って生活してきたんだろうが、
いつしか他人の顔色ばかり窺うような小心者に育ってしまった。
一方対応できなかった次男の方は、ついに爆発し、無差別殺人に手を染める。
その次男と「獄中結婚」した死刑廃止論者の女性というのが出てくるんだが、
清じゃなくても「こいつ、新興宗教にかぶれたか」と思うような痛い女。
次男との接見でも、全然話が噛み合わないし、
彼女は彼女で「コミュ障」としか思えないわけで、
かと言って死刑を防ぐための具体的な活動も見えないし、
もしかしてあのラストのためだけに用意されたのか、と思うほど。

今作を見て、改めて思うのは「家族と言ってもしょせん他人と他人の寄せ集め」
ということである。
互いにきちんと理解しようとしてないし(そんなのどだい無理と言えば無理なんだが…)、
手法こそ違えどみんな向き合うことを避けてさえいる。
血縁があって、一つ屋根の下に暮らしていれば家族になれる、
という時代では、もうないということだろう。
今や家族は「築き上げていくもの」であり、それを煩わしいと思うから
晩婚化、少子化が止まらないのではないか、とさえ思う
(アメリカ映画は、そこに極限の状況を生み出して「雨降って地固まる」を
具現化しようと試みるわけだが…)。
ラストは、非常に日本映画的。無節操すぎるぜ、清。

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