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映画 『カンパイ!世界が恋する日本酒』(☆☆☆)

日本酒が世界的に注目を集めている。
その火付け役とも言える「日本酒伝道師」ジョン・ゴンドナー。
来日して、日本酒の魅力に惹かれ、酒造の世界に飛び込み、
今や杜氏を任せられるまでになったイギリス人、フィリップ・ハーパー。
学生時代から世界に飛び出していた、老舗酒蔵「南部美人」の5代目蔵元、久慈浩介。
彼らを中心に、日本で、そして世界で起きている「日本酒」ムーヴメントを追う、
ドキュメンタリー映画。

ジョン・ゴンドナーの「日本酒伝道」は、
今やアメリカで日本酒を醸造するところまで来ているのだ。
アメリカの米、アメリカの水、アメリカの麹(かどうかはわからないけど)で、
製法は「日本酒」そのものである。
しかし、実は「日本酒」の定義というものを、
日本という国は実に漠然としか決めていなかったのである。
だから、アメリカのその酒は「リキュール」扱いである。

一方、英語教師から酒造の世界に飛び込んだフィリップ・ハーパーは、
なかなか破天荒な男。事故ったのにそのまま出勤してきて、
頭から血を流しながら仕事してたというのだから、
そりゃ当時の杜氏さんも半ば呆れたように「侍魂を持ってる男っていうのは、
どこにでもいるもんなんだなぁ」と言っている。
しかし、そんな「仕事の鬼」だから信用もされ、
今や杜氏を任されるところまで来たのだろう。
とはいえ、毎年毎年が試行錯誤の連続。
「同じ味を出すためには、毎年違うことをしなければならない」
という矛盾と戦ってるのである。
しかし、ハーパーの現場の状況を見ると、
やはり若い人材がこの世界になかなか入ってきていないという、
この国共通の問題にぶち当たってることが見て取れる。

そんな若い世代の業界人久慈浩介だが、
彼は生まれた時から「南部美人」を継ぐべく周りから見られていた。
本人はそれが気に入らなくて、高校の時にホームステイでアメリカに行くのだが、
ステイ先のお父さんに「それは素晴らしいことだ」と気づかされることになる。
大学に進学すると、教職と醸造家の両天秤をかけるため、醸造学科に進む。
そこでは、同じような人たちと縁を築き、それが今も生きている。
跡を継ぐと、積極的に売込みに奔走するが、
「久保田や八海山があればいい」とけんもほろろ
(ワシはどっちも飲んだことないけど、日本人は水みたいな酒が好きだからねぇ)。
ならばと、まさかの世界進出。今や着々と地歩を築いている。
そこに、「あの震災」が発生。
大学時代に付き合いのあった福島の若い蔵元が、
現地での酒造を諦めざるを得なくなってしまうのだが…。

「世界的な日本酒ブーム到来」と、日本は浮かれてるようだが、
ろくすっぽブランディングもできてないのに…。
結局今作で紹介されたような「人頼み」なんでしょう?
それじゃあ、また一過性で終わってしまうに決まってる。
日本酒を通じて、日本の何を伝えるのか、そのビジョンが無ければ、
「伝道」された世界の「SAKE」に駆逐されてしまいかねないよ。

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