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映画 『TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)』(☆☆☆☆☆)

豊洲移転を前提に話が進んでるドキュメンタリーだけに、
現状の流動的な状況を関係者は複雑な面持ちで見ているのではないだろうか。
しかし今作を観れば、築地のウリは
「世界最大(唯一無二とさえ言い切る者も作中には出てくるが…)の魚市場」
という事実ではなく「人を売っている」と口々に言っているように、
そこで誠心誠意働いている人々なのだ、ということが分かる。
今作を観れば、「人は城、人は石垣、人は堀」(武田信玄)という
言葉の解釈の仕方も変わってこようというものである。

話は豊洲移転問題に戻る。
今作で語られている、日本橋以来れんめんと受け継がれている
「魚河岸」のシステム(人頼みなところも少なくないが…)を、
果たして豊洲は受け継ぐに値する場所なんだろうか。
人頼みのシステムという面から考えれば、
どこに行っても慣れてしまえばどうとでもなると言えなくもないのだろうが、
実際には高い賃料で脱落する仲卸がいたり
(そもそも事業承継の失敗で閉めてしまうところも少なくないようだが)、
上物を建てるまでのゴタゴタでもめてる面が大きく、
ある意味システムと無関係なところで移転が頓挫しているわけである。
小池東京都知事は、オリンピック問題でも「アスリートファースト」を
標榜しながら、うがった見方をすれば「平地に乱を起こしてる」だけに見える
(確かに、決定過程に問題があることは認めるが…)。
豊洲移転問題にしても、「魚河岸ファースト」と必ずしも言えない状況に、
すでに陥っており(確かに、安全面などで問題があることは認めるが)、
今後さらなる混乱が予想される。
それにより、「唯一無二」とさえ言われる
「魚河岸システム」が損なわれるようなことになれば、
それこそ本末転倒なわけで、下手すれば日本の良き気風が、
自らの手によってまた一つ失ってしまう可能性だって孕んでるのである。

そういう、今日的な話とは無関係に、
仕事に対する取り組み方について非常によく描かれており、
普遍的かつ実効性のあるドキュメンタリー映画だと思う。一見の価値アリである。

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