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映画 『手紙は憶えている』(☆☆☆☆)

「本当に生き甲斐のある人間はボケない」
と思ってるワシから見れば、
今作は冒頭からどうにもきな臭い。
主人公ゼフ(クリストファー・プラマー)は、冒頭から完全に認知症である。
しかも奥さんを亡くし、そのことすら満足に思い出せないほどに、である。
そこに、ともにアウシュビッツの生き残りであるというマックス(○○)が、
「奥さんと私の前で誓ったこと」を書き残しておいた、
という書類と路銀を手渡し、「今こそこの誓いを果たすべき時」と伝えるのだ。
もちろん、そんなことよくは憶えていないゼフであるが、
マックスに言われるがまま手紙にある「アウシュビッツのドイツ人責任者」に
復讐を果たす旅が始まるのだが…。
終わりまで見ると、途中でゼフ自身が「クリスタル・ナハト(水晶の夜:注)」
と呟いた理由もわかるのだが、少なくともそのシーンに至るまで
これといった伏線もなくゼフはマックスの復讐を代行する旅が続く。
(クリスタル・ナハト:ナチの官製暴動とも疑われている大規模なユダヤ人暴動)
しかし、あくまでもこの「復讐」の主体は、マックスなのである。
彼は、呼吸器系の大病を患ってるようであり、車イス生活ということもあり、
病院を飛び出して復讐を遂げることはできない
(というのも実は伏線だったりするのだが…)。
そこで、ゼフに白羽の矢が立つのだが、
彼の正体がクライマックスで判明すると、先の「復讐の主体はマックス」
という意味が実に重々しくのしかかってくるのである。
認知症のゼフは、寝て起きるたびに妻の死を忘れ、
手紙を読んでそれを思い出すたびに沈痛な思いをする。
しかも、彼が追う男(4人候補が出てくるのだが)たちには、
もちろんそれぞれに事情があり、人違いであることを気付かされるたびに、
また沈痛な思いをさせられる。
実は、そのことにも意味があるように思われ、今作の深い味わいにもつながっている。

記憶に関する作品がいくつかあったが、
「記憶操作」という意味において今作は実にえげつない、
しかし実によくできた作品であると思う。
ただし、後味は実に良くない。

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