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鑑賞映画レビュー 2021年3月分

なんか、3月だけで27本も観てた。ほぼ1日1本か…。
今回は開催週の都合で4月分も1本入って計28本扱ってます。
やっぱり、1館増えてるのは大きいのかな。

カポネ(☆☆☆)
「アンタッチャブル」でもおなじみアル・カポネの最晩年を描く作品。
梅毒が進み過ぎたせいなのか、老いが進み過ぎたのか、
生来の猜疑心の強さゆえなのか、なんかこうムチャクチャ。
それに周りは振り回されてるのか、
それともカポネの遺産欲しさで振り回されてるふりをしてるのか…。
権力者の黄昏を描いてるといえばカッコいいが、
ちょっとガチャガチャし過ぎてるかなぁ…。

スカイライン・逆襲(☆☆)
このシリーズ、半分はヤヤン・ルヒヤンが出てるから観てるのに…。
今回はチョイ役だし、
話自体無駄にでかくなり過ぎだし…。
結局「征服」の、あの身も蓋も無い感じが一番良かったんだよなぁ…。

分断の歴史~朝鮮半島100年の記憶~(☆☆☆)
おおむね日韓併合以降の半島史を振り返りつつ、
現状抱える問題を掘り起こすドキュメンタリー。
原因を作ったはずの日本が、
現在この問題に対してあまりにも存在感が無いことがよくわかる。

私は確信する(☆☆☆☆)
フランスの法廷もの、しかも実話ベースで未解決事件を扱っている。
その分、若干の歯切れの悪さはあるが、
洋の東西を問わず安定の緊張感を生む題材なだけに、
知り合いというだけで首を突っ込みまくる主人公の名(迷?)推理込みで
楽しめる作品。

ガンズ・アキンボ(☆☆☆)
インディーっぽい作品にやたら出てる、
ダニエル・ラドクリフ(「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ)主演作。
設定は無茶苦茶だし、主人公もぶっちゃけクソではあるが、
それなりに爽快感はあるし、それなりに笑える。
それにしても、社会って存外狭いね。

めぐみへの誓い(☆☆☆)
拉致関連という、扱いにくい題材に挑んだ意欲作。
その分、情緒的になるのは仕方ない。
「分断の歴史~」という、世界観の近い作品を観た後なので、
やはり日本という国家の存在感の薄さをにじませる作品。
邦画なんだけどね…。

太陽は動かない(☆☆☆)
ワーナー制作ということもあり、カネかかってる感のある作品だし、
「続き、やらせてもらえないですかねぇ」感のある作品。
躍動感があって、良いのは良いんだが、
「劣化ハリウッド」感の強い作品。
続きは、「まあ、やればいいんじゃない」ぐらいな感じ。

野球少女(☆☆☆)
最初は「韓国もジェンダーフリー感出したいんだ…」と思って
スルーしようと思ってたんだけど、
今作の主人公にモデルがいる、と聞いて一応観てみることに。
内容的には「魔球に頼らない『野球狂の詩』」といった感じなんだけど、
主人公が本格派志向なのが、
過剰にジェンダーフリーを意識してるように見えるのがねぇ…。

ブレイブ 群青戦記(☆☆☆)
作品自体は悪くないんだが、
ワーナー制作なのと、主人公役の新田真剣佑が出てることもあり、
もれなく「るろうに剣心」の予告編が入るのが大問題。
「るろ剣」の真剣佑が予告編で躍動してるのに比べると、
今作の真剣佑が煮え切らない主人公役でどうにも見劣りしてしまうのだ。
宣伝して製作費回収したい気持ちはわかるが、
そういうところも考えて予告編を流すことも必要なのでは?

ウォーデン 消えた死刑囚(☆☆)
イラン映画、その①。内容的には地味。
見慣れない国の映画のせいか、お国柄的にピンと来ないところもあって、
半月以上経った今となっては、ぼんやりしてる感じ。

ジャスト6.5 闘いの証(☆☆☆)
イラン映画、その②。
麻薬絡みの作品らしく、
成り上がりの手段として大金を稼げる麻薬に手を出す、
という構図は洋の東西を問わないが、
野趣あふれる大捕物はなかなかに見もの。
そして、不安定な立ち位置の警察屋さん。わかりやすいのも良い。

キング・オブ・シーヴズ(☆☆☆)
どこのお年寄りも、頭の働きが鈍ってるのは同じことのようで、
昔強盗で鳴らした年寄りたちが、
その腕、ではなく悪名を利用されて、
若者にまんまと上前をはねられるという、実際にあった話が基になってる作品。
その若者(?)だけが捕まってないらしく、
黒幕ってこういうことなんだな、と改めてうならさせられてしまう。
それにしても、悪名を買われたお年寄りたちは、
やはり現代の水準からするといろいろとお粗末。
脳みそがアップデートされてない様子が、滑稽というか痛々しい。

ミアとホワイトライオン(☆)
主人公家族がおおむねクソ人間ぞろいで、共感しにくい。
周辺の人間もだいたいクソなので、動物がかわいそうになる。
美談ぽくすれば良いというものではない。

DAU.ナターシャ(☆☆☆)
ロシアの、超実験的な映画の、しかも一断片。
セットとして町一つ作り、そこに旧ソ連を再現し、
演者が当時の生活をする中で作品を作る、
という壮大なプロジェクトから生まれた最初の作品。
普段はわりと普通に生活できても、
ふとしたきっかけで突然国家権力が牙をむいてくる様を活写してるが、
ある意味こういう撮り方をしてるからこそのリアリティを感じられる。
ただ、基本日常を描いてるので、やや冗長な感じもする。
他の切り口にも期待である。

世界で最も安全な場所を探して(☆☆☆)
「あの震災」を通じて生じた「核物質の最終処理」問題がテーマのドキュメンタリー。
「トイレの無いマンション」と言われ、
導入当時から「そのうち誰かがきっと考えつく」という甘い見通しで
各国が進めてきた原発政策だが、再利用が実質破綻した現状においては、
捨て場所を探すしかなくなってしまったわけだが…。
「100000年後の安全」でも言われるように、
半減期がベラボーに長い核物質を安全に捨てられる場所なんて、
ホント地球上にあるんだろうか…。
無責任だが「軌道エレベーター」でも作って、
宇宙に放出するぐらいしかないんじゃないだろうか。

ミッドナイト・ファミリー(☆☆☆)
メキシコが舞台のドキュメンタリー。
メキシコでは、公営の救急車が圧倒的に不足しており、
私営の救急車が、特別な許しもなく走ってるんだとか。
今作では、そのうちの1台に密着してるわけだが、
運ばれる人間が人間なので、なかなかカネにならないわけで、
その一家の生活は厳しい。
かといって、国なり自治体に潤沢なお金があるわけがなく、
彼らの立場は危ういまま。
それでもラテン気質でそれなりにやってるところに救いがあるのだが、
命がかかってるという現実を考えると、誰も幸せにしてないのも確かなわけで…。
ワシ自身が救急車の世話になったことはまだ無いが、
誰でも気軽に呼べる、という意味では、日本はやはり恵まれた国なのであろう。

殺意の道程(☆☆☆☆)
バカリズムがいろいろとうまい、のはもちろんだが、
「なぜ松本人志は映画で失敗したのか」がよくわかる映画。
結局、「ちゃんとした映画を作って、その中にそこはかとなくギャグをちりばめる」
のが、邦画における最適解で、
そのバランスを崩壊させると北野武でも失敗する、ということ。
松本人志の場合、ほぼギャグに全振りしてる時点で大失敗なわけだが、
松本人志がやりたいことがそういうことなんだから、仕方ないわけだが…。
その点、バカリズムは伏線の張り方も回収もうまいし、
邦画に適した「クスリとくるヤツ」を滑り込ませてくる。
「地獄の花道」も、荒唐無稽に見えるがちょっと期待してもいいのかも。

ミナリ(☆☆☆☆)
移民の大変さを描いた韓国(?)映画。
日本でさえ、ちょっと人口が増えたら、
身売りだの移民だのしてたんだから、
国土の狭い韓国では、より海外に積極的に打って出るのは当然だろう
(中国は、ちょっと事情が違うので、ここではあまり上げないが…)。
うまく行きかけてたところに、あのラスト、なわけだが、
今作でも「老い」が一つテーマになってるといえるかもしれない。
老人はしばしば老いを受け入れられないのである。
それゆえ、頭や体がついていかないのに昔のように
「まだまだやれる」ってところを見せようとするんだが、
それは「ゼークトの法則」でいうところの
「能力が劣り、やる気満々な者」に当たるように見えた。
「ゼークトの法則」では、そういう者は「組織を誤った方向に導く」
という理由で「処刑するしかない(軍人なのでこういう表現)」としている。
コレが「老害」の実相と、今作を通じて思い至った。考えさせられる作品。

新デコトラのシュウ(☆☆)
古き良き日本映画。
ただ、SEがいちいちジャマ。
あと、「ヤクザと家族」とか「すばらしき世界」を観た後だと、
ヤクザ屋さんの扱いがかなりいい加減。
良くも悪くもVシネそのまんま。

ひとくず(☆☆☆☆)
「万引き家族」的作品だが、
ある意味構成員全員に犯罪を犯すことを強要する「万引き家族」と比べると、
むしろ潔いとさえ思える主人公。
「親から受けた以上の教育を他人に施すのはホント難しい」
という感じの邦画を年初から観てる中では、
今作の人間像もその典型の一つといえるだろう。
ラストもすがすがしくて良い。

テスラ エジソンが恐れた天才(☆☆☆)
「エジソンズゲーム」では第三の男的な扱いだったニコラ・テスラの、
「エジソンズゲーム」以降の話。
「エジソンズゲーム」でも、人間的にやや問題のある描かれ方をしていたが、
主役に据えられたことによりより先鋭化した印象。
いわゆる「天才肌」で、「ついて来れないやつのことは知らん」というスタンス。
確かにそういうことでは大向こうを唸らせることはできないわなぁ。
しかも、後半突然歌いだしたりするし(コレは構成上の問題だろうが)、
いろんな意味で迷走してる作品。

きまじめ楽団のぼんやり戦争(☆☆)
戦争を寓話的に描いた作品。
「ザ・シュール」な作品で、観衆を選ぶ作品。
愛する誰かの死が突然やってくる、という意味では
確かに戦争の悲惨さを如実に描いてるともいえるが、
それ以外の記述がタイトル通り「ぼんやり」してるので、
最後までモヤモヤさせられる。

騙し絵の牙(☆☆☆)
「全員ウソをついてる」
「ラスト15分で何かが起こる」
「主人公は大泉洋を当て書き」
のスリーヒントクイズから導き出される結末の予想が、
おおむね正解(内容はいまさら言ってもアレなので言わないが)だったので、
そういう意味でだけ気持ちのいい映画。
むしろ「長年構造不況業界と言われてる出版業界の生き残り方」を
指し示してる映画として捉えた方がいい作品で、
実は同じことが映画界にも言えるのではないか、という内容。
ただ、日本にはコンテンツのパワーを最大限引き出す人材もカネも無い、
という結論に至るわけだが…。

トムとジェリー(☆☆☆☆)
実写の中に入っても、実に「らしい」出来に仕上がってる。
内容もベッタベタだが、むしろそこが良い。
クロエ・グレース・モレッツも相変わらずキュートだし、
テレビ版観まくった方には絶対オススメ。

ノマドランド(☆☆☆☆)
オチが無いので、実録モノっぽい仕上がりになった今作。
日本も人材の流動性があのぐらい高かったら、
ワシもああいう生活にちょっと憧れたりもするんだが、
流動性が低い以上に車検というハードルがあるので、
日本でああいう生活をするのは厳しい、というのは想像がつく。
一方で、固定資産(土地とか家屋とか)の処分のことを考えると、
老いてからああいう身軽な生活をするというのは、
やはり選択肢としてアリなのでは、とも思うのだが…。
スタッフロールを見る限り、フランシス・マクドーマンド(主演)が、
実際のノマドコミュニティに潜入取材してる感じに見えなくもない。


モンスターハンター(☆☆)
東宝が世界向けに送り出した作品。
題材としては悪くないし、監督と主演の組み合わせも悪くない。
しかし、設定上向こうの世界に行ったら基本言葉が通じない、
という設定のせいで中盤ぐらいまで展開がもっさり気味。
で、言葉が通じたと思ったら、
東宝的に言うと「ラドンvs(ミラ・)ジョヴォヴィッチ」なノリに。
個人的には、トニー・ジャーが今回もビミョーな立ち位置なのがザンネン。

シカゴ7裁判(☆☆☆☆)
安定の法廷モノの中でも屈指のクソ裁判官が登場(しかも実話)。
ベトナム反戦デモと急進的公民権運動グループのブラックパンサー党を
シカゴを舞台に法廷で一網打尽にしてしまおうと画策した、要するに国策裁判。
悪名高いニクソン政権下だから仕方ないか。
ただ、被告側も反戦デモやるぐらいだからかなり挑発的で、終始ピリピリムード。
法廷モノの緊張感を端的に味わいたいならコレ、という作品。

ある人質 生還までの398日(☆☆☆☆)
観に行ったのは4/1だが、開催週の都合上3月分に含む。
作中でも交渉人が言ってるように、主人公は無鉄砲な若者。
とはいえ、本人が言うように体操の国家代表に選ばれてたのに、
壮行式で脚をケガして以来人生が暗転してしまった感があるので、
一発逆転に打って出た、というのがホントのところだろう。
みんながみんな、というわけでもないだろうが、
極限の状況にあっても西洋人が寄り集まったらユーモアで状況を笑い飛ばせるという、
肝の太さには驚かされる。
テロリストと国家と民衆の関係って、やはり難しいが、
そこをあっさり飛び越えてたのが少し前の日本だったりするので
(今はさすがに態度を改めたようだが)、
20世紀の日本は「悪しき前例の詰め合わせ」的なところがあるよなぁ。

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