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鑑賞映画レビュー 2021年6月分 他

明日の食卓(☆☆☆)
半ば今年のテーマになっている
「自分が受けた以上の教育や習慣を子供に与えるのは難しい」を
3つの視点で見る作品。
中でも尾野真千子さん演じる家庭は、
一歩間違えれば「哀愁しんでれら」化しそうなぐらい、
お子さんが良い壊れっぷり。
ただ、最後に手紙だけとはいえ第4の家庭を出すのは反則。

賭ケグルイ 絶体絶命ロシンルーレット(☆☆☆)
「絵面が派手な『カイジ』」となってきた作品。
ただ、ギャンブル自体のクセが強すぎて、
イマイチ駆け引きが入ってこない。
それこそ、『カイジ』と差別化したいんだろうけど、
今回「開拓地」みたいな設定が出てきて、
むしろ『カイジ』寄りの設定なのがバレてしまったのが痛い。
原作は『カイジ』の方がギャンブル休止中なので、
ギャンブル面を押し出すなら、むしろ今回チャンスだったんだろうけど…。

茜色に焼かれる(☆☆☆)
最近、尾野真千子さん、よく出るよねぇ…。
物語の落とし方としてはわりと王道なんだが、
その割にカタルシスが無いし、何より印象に残らない。

Funny Bunny(☆☆☆)
前半と後半にあまり脈絡がない。
舞台がベースらしいが、舞台ではどうつないでたんだろうか。
ワシとしては、前半のノリが好きだし、
あのまま90分ぐらい引っ張ると思ってたのに…。
後半は、オカルト要素入ってきて、あまり入り込めなかった。

はるヲうるひと(☆☆☆)
設定自体にも若干クセがあるんだが、
キャストのクセが相当強いのでさほど問題にならない。
島という狭いコミュニティの話なので、
日本の因習みたいな話にもなるんだが、
ラストのどんでん返しのクセも強めで、痛快だが爽快ではない。

トゥルーノース(☆☆☆☆)
「あの」明石家さんまも注目してる「アニメ」という表現。
実際の脱北者の証言をもとにした、実録の北朝鮮モノ。
体制批判云々ではなく、
「与えられた条件の中で懸命に生きていく」
ことに主眼が置かれている作品なので、倫理的にややアレな話も出てくるが、
「廉潔は辱められる」(孫子・九変編)という言葉もあるので、
生きるためにはある程度仕方ないところであろう。
ただ、「合成の誤謬」という言葉もあるように、
みんながみんな「足元だけ見て懸命に生きてる」うちは、
歪んだ体制が改まることはないだろう。
一方で、近年懸命に体制を改めようとした勢力の末路を見るにつけ、
社会の体力に余裕が無く、体制転換についていけてないようにも見える。
そういう意味では、いろいろと見えてくる作品ともいえる。

グリーンランド(☆☆☆)
「トゥルーノース」と同じく、「与えられた条件の中で懸命に生きていく」作品。
コロナ禍とも重なる部分は確かにあって、
主人公家族は一見ランダムに「生き残り対象」に選ばれる
(後に完全ランダムではない事実を知ることになるんだが…)。
しかし、選考過程が完全にブラックボックスなので、
選ばれてない方からすると不公平感が出てくるのは仕方ない。
一方で、「先着順」の怖さも作中で描かれており、
まぁ見事に選考外の人々が暴徒化するわけである。
ああいうのを見ると、日本人てやっぱりおとなしいというか聞き分けが良すぎるというか…。
挙句に、息子は持病のせいで選考外にされるし、そのせいではぐれるし…。
まぁ、急ごしらえの制度なんて、こんなもんなのかもしれないけど…。
しかし、よくも「続編決定」となったものである。
どう話を膨らましていくんだか…。

るろうに剣心最終章 The Beginning(☆☆☆)
今までの劇場版とは少々描き方の違う「るろ剣」。
相変わらずツッコミ所はあるが、「The Final」でも触れてるし…。
悪い言い方をすると「カネがかかってるだけの時代劇」なんだが、
正直このぐらいしないとNETFLIX辺りとはやり合えないと思う。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(☆☆☆)
原作既読につき、大きな驚きはないが、
ヒロインのギギ・アンダルシアが思ったよりよく動いてる感じ。
今後のドラマ展開には期待が持てる。
しかし、三部作確定なので、次回は中だるみほぼ間違いなし。
その辺どう対処してくるかが、ある意味楽しみではある。

Mr.ノーバディ(☆☆☆)
主人公の背景がイマイチ見えてこなかったのはザンネンだが、
あまり考えないで観るのが吉な、痛快(?)アクション映画。
主人公もヤバいが、お父さんも充分やべーやつだった。
あと、この監督さん、「ジョン・ウィック」シリーズもやってるんだが、
ロシアンマフィア好き過ぎでしょう。

キャラクター(☆☆☆)
点数はやや辛め。
ただ、山城(漫画家・菅田将暉)と両角(殺人鬼・セカオワFukase)の力関係が、
わりと早々と透けて見えてしまった時点で、
殺人鬼優位で話が進んでしまうことがわかってしまったし、
山城の思った以上の中身の無さに、中盤以降むしろがっかりさせられる内容。
山城が抱く野望(脱アシスタント)は、漫画家としてはまっとうなものだが、
絵を描く訓練ばっかりで「ストーリーで読ませる」という発想になってない時点で、
独立は過ぎた野心だったと思わざるを得ない。
そういう意味では「いい人だから大成しない」というのは若干的外れ。
三浦健太郎死去(「ベルセルク」作者)でも取り沙汰されているが、
漫画における「描き込み」と「ストーリー性」と「締め切り」のバランスが
ある程度しっかりしてないと、大成しても体壊すだけ、
みたいなことになるしねぇ…。

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(☆☆☆)
いつの間にか「娘さんの話」になってしまった今作。
この世界では「声に出さなくても表現できる」というのは確かに大きなメリットなのだが、
映画という意味では「映えない」し「コミュニケーションがもっさりする」という
2点でデメリットになってしまう。
実験的だが、必ずしも実践的ではない作品。

ザ・ファブル 殺さない殺し屋(☆☆☆)
ジャッキー・チェン映画ばりに
「岡田准一のアクションを見せるための作品」になってしまった。
前作で用意した道具立てをほとんど無視してるし、
日本映画であることを差し引いても、
「殺さない」ことがほぼデメリットにしかなってないというね…。
確かにアクションシーンはおごってるが、
「るろ剣」のところでも書いたように、
このぐらいやらないとNETFLIXとは張り合えませんからねぇ…。

きみが死んだあとで(☆☆☆☆)
羽田闘争(1967)で亡くなった京大生の友人らを訪ねて回り、
人となりや当時の状況などを描くドキュメンタリー。
ある意味「トゥルーノース」とは逆で、
「現状に満足せず、改変するために命を懸ける」方に行った話。
「倫理」という科目がこの頃できた、とか、
そのために「左翼的思想」が場合によっては純真な高校生に
無批判に取り込まれてしまう素地になってしまった、といった話は興味深い。
一方で、「トゥルーノース」のところでも書いたが、
革命的煽動の結末としての現在を見るにつけ、
彼らが命を散らしただけの果実を我々は手にすることができたのか、というと、
やはり疑問を感じずにはいられない。
ただ、香港などで起きている反動的な力のかかり方に対しては、
「トゥルーノース」的な態度ではやすやすと飲み込まれてしまうことは、
容易に想像できてしまうし…。

夏への扉(☆☆☆)
原作の発表時期(1956年)と、
原作が想定していた「未来」(1970年代)と、
今作が想定するそれぞれの時代(1995年、2025年)の、
それぞれが持つ微妙な時代性の違いによって生じる歪みが、
作品に悪い影響を与えているといえる。
結局、タイムリープものが持つ矛盾を解消できてない上に
「並行世界」論を作中(少なくとも映画の中では)で否定してしまってるので、
歴史改変したことを前提として話が進んでしまうことに、
ワシとしては違和感を持ってしまう。

モータルコンバット(☆☆☆)
真田広之も年齢を感じさせずよく動いてるが、
各キャラクターが持つギミックが多すぎて、
全体としてガチャガチャした印象。
純粋にアクションを見るだけなら「ザ・ファブル」の方が断然いいが、
「ジョン・ウィック4(仮題)」など今後も話題作に出演予定の真田広之を
アップデートする意味では充分価値のある作品。

Run ラン(☆☆☆)
「哀愁しんでれら」とは違うベクトルの「溺愛」が見られる作品。
てゆーか、お母さんかなりやべーやつだった。
クライマックスで次々明かされる真相がいちいちエグイ。
そして、そこからラストへの展開。まさに因果応報である。

ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている(☆☆☆)
2020&2021グラミー賞受賞の若き天才ビリー・アイリッシュのドキュメンタリー。
両親もショウビズ界に身を置いており、
彼女のプロデュースは実質実兄が行ってるという、ショウビズ家族。
それだけに家族も活動に理解があるし、
そこから生まれる余裕が観客の気持ちに寄り添えるようにも思える。
一方で、当然まだ若いからこその悩みもある。
そこまで赤裸々に描いてるわけではないが、
観客と歌やライブを通じて悩みを共有してる感じが見えるのが、
今の地位を築いた大きな要因のように思える。
従来のアーティストのように、酒やクスリや男に溺れませんように…。

グリード ファストファッション帝国の真実(☆☆☆)
世の中ハッタリで意外と渡って行ける、という話にもできるんだが、
今や「安い国」といわれる日本の現状を考えると、
身につまされるというか、フェアトレード大事だな、とか、
そういう考えさせられる作品。
今はUNICLOが世界的にはやり玉に挙がってるが、
ちょっとベクトルが違うように一見見えるが、
もしかすると根は同じなのかも。


今年も半年が過ぎたので、6月末時点での鑑賞本数をおさらい。
 1月:12本
 2月:17本
 3月:27本
 4月:11本
 5月:15本
 6月:18本
 合計:100本
ちょうど100本ということは、計算上2年ぶりに年間200本になるということか。
観てる映画の中ではヤクザもの3本
 ・ヤクザと家族
 ・すばらしき世界
 ・ひとくず(このくくりにしていいのか…?)
が高評価な一方、今年の鑑賞テーマを提示してくれた
「哀愁しんでれら」も引用数的に言うと印象的な作品。
下半期第1週は、なんといっても「ゴジラvsコング」だろう。
まぁ、「豪華な怪獣映画」というのが一般的な評価だが、
それはそれでいいのではないだろうか。

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