実は28本も観ていた8月。
後でまとめて書こう…、なんて思ってたら、
すっかり延び延びになってしまい…。
書ける時に書き溜めておかないと、だねぇ…。
数が多いので2分割で。
バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー(☆☆)
やっぱり、スタッフの名前とかに釣られて観るとロクなことが無い。
とにかく下品。
「シティーハンター」は「週刊少年ジャンプ」内でも
大発明と言える「エロいけどエロくない」を体現した作品だが、
フランス映画界でもどうやらそうだったらしい。
かといって、完全にダメじゃないところがまた…。
日本でこういう感じの作品やろうと思ったら…、
多分企画も通らないと思うけど、
通ったとしてもクッソつまんないのが出来てくるんだろうなぁ…。
ジュラシックワールド 新たなる支配者(☆☆☆)
最後だからと思って観てきたが、
今までなんで観に行ってなかったのかすっかり思い出してしまった。
結局このシリーズって、「キングコング」シリーズとかと同じく、
恐竜とかを見世物にしたら制御できなくなって…、
っていうだけの作品。
このシリーズは、早くから遺伝子操作とかの話をしてたから、
今作では巨大イナゴとかが世界中の食糧を食い尽くす、
みたいな展開もあるんだけど、
それって遠からず人間がやってしまう可能性だってあるわけだし…。
欧米人は、やっぱり「自然派支配するもの、あるいは支配できるもの」と
考えてるようだが、日本人はアイヌとかもそうだけど、
「自然のご機嫌を伺い、折り合っていくもの」と考えてるので、
こういう作品世界には本当のところなじめないと思うんだよねぇ。
アプローズ、アプローズ!(☆☆☆☆)
崖っぷち役者と服役者が、
演劇を通じて自分たちの居場所を模索する、という
スウェーデンの実話を基にしたフランス映画。
「バッドマン」に比べたらすごくお上品な作品
(そもそも比べるな、という話もあるが…)。
与えられた場所に居場所をなかなか見つけられない彼らが取り組む演劇が、
存在意義を問う不条理劇の「ゴドーを待ちながら」というのが、
また興味深いわけだが…(まぁ、ワシは「ゴドーを待ちながら」観たことないですが)。
ラストは…、まぁそうだよね、と言えなくも無いが、
実際服役者のその後はわかっていない。
矯正教育という意味で言えば、この手法は失敗だったと言わざるを無いが、
北欧ではまた異なるアプローチの刑務所もあるので、
相変わらず模索しているということなのだろう。
対する日本は…、いろいろ硬直的だからねぇ…。
教育と愛国(☆☆☆)
主に「道徳教科書」と「歴史教科書」の問題を取り上げているが、
レビューを書き損ねてる間にこの辺に関わりのありそうな問題が
起こってしまってるので、今作に関してはわりと一般的な話だけ。
「道徳教育」に関しては、森友問題ともに「愛国心」教育の扱いで
ディベートやりたがらない(というか、論争の状況そのものに日本人が耐えられないのだが)
日本人からすると、「価値観の押し付け」につながりかねない
(実際、戦前の「修身」では価値観の押し付けになってしまったのだが…)。
「歴史教育」についても、結局戦前や戦中の描写に問題が出てしまったことが原因なのだが、
そもそも以前から現場では「腫れ物」扱いで、
それ以前の期間をまったり授業して戦中の授業は教わってないと、
少なくとも昭和50年生まれのワシは記憶している。
今年観に行った「松代大本営」で起きた事などを見ても、
教科書の内容が事実を少なからず歪曲していることが見て取れるわけだが、
「道徳教育」と繋げて見ても「戦前回帰」と捉えられても仕方ない面はある。
そもそも「教科書検定」自体が「国家による価値観の押し付け」に
繋がる危険性をはらんでいるわけだから、
そこの運用はもっと慎重にならないといけないのに、ねぇ…。
女神の継承(☆☆☆☆)
平凡な「タイ発のホラー映画」とは一概に言えない。
というのも、タイ北部の民族と結びつき、
また「チェイサー」などの監督作があるナ・ホンジンがプロデュースし、
ナ・ホンジンの母国韓国の習俗や、
日本の習俗とも近いものを感じさせてくれるかからだ。
「ムーダン(「聖地X」にも出てくる)」「鬼道」「陰陽道」など、
この辺りが混然一体となっているのがアジアの習俗の本当のところだと思ってるので、
怖いけど興味深い内容だった。
ちょっと大げさに言えば、「ジュラシックワールド」のところでも書いたが、
「人間と自然の対峙」にも通じる。
そういう意味で言えば「貞子DX」ってまた違う意味での逞しさを感じる
(まぁ、観ないけど)。
L.A.コールドケース(☆☆☆)
「白塗りしてないジョニー・デップ出演作」はやはり当たらない、
というか、ジャーナリスト(フォレスト・ウィテカー)と元刑事(ジョニー・デップ)という、
捜査権限の無い2人がいくら事件をほじくり返したところで、
公権力に握り潰される新事実しか掘り起こせないわけだから、
ラストに爽快感を求めるのにはそもそも無理がある。
そういうわけで、基本的には過程の緊張感を楽しむ作品。
「MINAMATA」のジョニー・デップもそうだったが、
本来こういう影のある人間をうまく演じるだけの演技力がある俳優。
離婚騒動でよりイロモノ感が出てしまってるのが気がかりではあるが、
「白塗りしてない」ジョニー・デップ、キライじゃないですよ。
長崎の郵便配達(☆☆☆)
今作で一番びっくりしたのは、
「ローマの休日」にモデルとなる人物がいたんだぁ、という点。
その人は、ピーター・タウンゼント。
大戦中は英国空軍のパイロットをやっていて、
当時の英国王ジョージ6世によって侍従武官に任じられた時に、
マーガレット王女(先ごろ亡くなられたエリザベス2世の妹)に見初められたが、
当時既婚者でのちに離婚したピーターを王室に入れるわけにはいかなかったようで、破局。
この辺りのエピソードや、ピーターがジャーナリストをやっていたことから、
「ローマの休日」のモデルとなったのだろう。
で、そのジャーナリスト時代に長崎を訪れ、
被爆者の谷口稜曄(タニグチスミテル)氏を取材し、のちに小説を出版する。
今作は、ピーターの娘と今作の監督である川瀬美香女史との出会いによって生まれた映画。
内容的にはロード―ムービー的で、
「長崎に行ってみたいな」という気持ちにこそなるが、
原爆に関するメッセージ、という意味ではヒロシマ系の生々しいのとは違って、
かなりマイルドな感じ。
「家族の物語」として観るのが正解か。
1640日の家族(☆☆☆☆)
コレも実話系のフランス映画。
今作のの監督さんは、今作で言うと実子の方の立場で
今作のようなシチュエーションを経験したんだそうで、
現在40半ばの方だそうなので、
フランスの里親制度は多様化の歴史を歩んできたことがうかがえる。
受け入れ側からすると「悲しい別離の話」としてもっとフレームアップもできるんだろうが、
今作の主役はある意味「里子」の方であり、
フランス国家としては「実親の元に戻る」ことがやはり究極の目標なのだろう。
そういう意味では、今作の里親は「やりすぎた」と見ることができるし、
多様な視点が用意されている今作はゼイタクな作品ともいえる。
気持ちいい映画ではないが、興味深い作品ではある。
GレコⅤ(☆☆☆)
いよいよ大団円。
月や金星圏まで巻き込んだ大戦争(?)のクライマックスが、
結局一騎打ち、というのが富野作品らしいと言えばらしいのだが、
終わり方含めて「小ぢんまり」とした印象を受けてしまうのは、
「宇宙戦艦ヤマト」シリーズや「銀河英雄伝説」を通った後だからかも。
ネアカな作品で観た後の爽快感はあるのだが、
今作以降の世界が抱える現実は、正直観たくないかも…。
アライブフーン(☆☆☆)
CGにカネかけられないんだったら、
カメラ台数をゼイタクに使って、画像処理は最低限にして、
本物志向で撮った方が成功するのでは、と思わせる作品。
ただ、ツッコミどころは少なくない。
実際、Eスポーツ出身のレーサーも実在するので、
今作の視点自体はそこまで新しくもないのだが、
ヘタにCG使うぐらいなら実写化はあきらめて「アニメ映画」にするか、
今作のように徹底的にリアル志向に走った方が
(単にわしがダマされてるだけかもしれないが)、
日本映画は面白そうな気はする。
そういう意味では、やはり日本映画に銃器は似合わない。
リアルに扱える人間が少なすぎるから。
こどもかいぎ(☆☆☆)
「教育と愛国」のアンサームービーになりうるかもしれない作品。
「議論という状況に耐えられない日本人」が生まれる原因の一つは、
そもそも「自分の意見を言う機会を与えられずに大人になった」からとも言えるので、
今作の取り組みのように幼少期から「とにかく自分語りする機会を作る」のは、
議論慣れするという意味で意味がありそうではある。
もちろん、今作で扱うのは保育園児なので、いろいろと拙い面はあるが、
実際に見る大人たちの議論はもっと醜いので、可愛げがある分ましと言えるかも。
「戦わないための戦い」に備えるうえで、今作は間違いなく一助となるだろう。
炎のデス・ポリス(☆☆☆)
ザ・B級アクション映画だが、痛快な展開で気持ちいい。
主役の新米女性警官が、地の利を生かして
クセモノたちと渡り合うんだから、面白くないわけがないんだが、
あまりにもB級臭が強すぎて、薦めにくいかな。
野球部に花束を(☆☆☆)
キャラが濃いな、と思ったら、マンガ原作(月刊少年チャンピオン)だったのね。
先輩部員が「小沢仁志」に見えちゃうのは、Vシネの観過ぎでは…?
里崎さんの豆知識も悪くないが、
今作では某地上波番組の「メンドクセー奴」高島政宏が輝きまくってる。
高島兄弟って、いつからこんなクセモノばっかり
(弟さんは「ちむどんどん」ではそれなりに常識人の役だったみたいだが)
演じるようになっちゃったんだろうかねぇ…。
内容は、昔の体育会系部活あるあるなんだけど…、
「昔の」って片づけられるんだろうか、ホントのところ…。
ファイナルアカウント 第三帝国最後の証言(☆☆☆)
「教育と愛国」で、戦前回帰的な考え方が日本に戻りつつあると感じたが、
ナチスのお膝元だったドイツにもそういう傾向があるようで…。
そういう意味では、やはり「幼少時からの教育」の効果というのは
絶大なものなのだと改めて実感させられる。
もちろん、いいメを見てきた一方、戦後鬱屈した日々を送ってきた事への
揺り返しみたいなものもあるんだろう。
世界情勢は100年前に戻りつつある。
その時、戦前の教育を抱えたままの彼らは、
社会の中で責任ある立場であることが少なくないだろうが、
いかに向き合い、いかに立ち回るのだろうか…。
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