« 「新・中央競馬予想戦記」 2023-01-29 | トップページ | 2022「勝手に映画賞」など »

【1か月遅れ】鑑賞映画レビュー 2022年12月分

ワイルド・ロード(☆☆)
基本的に主人公の周囲は悪役たちによって固められてしまってるので、
拙い交渉術と弱い自分をさらけ出して
一人ずつ味方にして行くしかない主人公。
とはいえ、悪とはいえ、組織のカネとブツに手を出したんだから、
状況自体は残当としか言いようがない。
せめて「ナイトライド」ぐらいの交渉術や行動力が必要だろう。
結末は一応救いがあるものの、
方向性としてはあまり爽快感のあるものではない。

木樵(☆☆☆)
親の生業だった「木こり」を、
映画監督になった今改めて掘り下げようというドキュメンタリー。
昔ながら(さすがに木を切るのはチェーンソーだが)の、
手切りからの架線による木材運び出し。
決して経済的には効率的ではないが、
「サスティナブルな林業」という意味では、
山を荒らさないようにする方法論としては正しいらしく、
木こりたちはそういった林業の在り方に誇りすら持っている。
ただ、今作に出てくる現場の木こりたちには、
良くも悪くも悲壮感が無い。
悪い言い方をすると「淡々と仕事をこなしてる」印象である。
戦後の乱開発から罪滅ぼしの植樹に、
近年の豪雨災害が重なり、山林の危機も叫ばれている。
本来は、確かに彼ら「木樵」が手を入れて、
山林の環境を整えていくことが、今特に必要となってるかも知れない。
しかし、産業財として木材の需要が大きいかというとそうでもない
(新国立競技場も、「大いなる無駄遣い」になるかも…)。
そこに、木材業者や、防災上の観点における国や自治体は、
いかにコミットして行くのだろうか…。

ブラックアダム(☆☆☆)
DCユニバースは、どう見てもアマンダ(ヴィオラ・デイヴィス)が黒幕なので、
一部大物(スーパーマンとかバットマンとか)以外は
基本彼女の手の上で踊らされる存在。
ブラックアダム(ドウェイン・ジョンソン)も基本的にはそういう存在。
そういう意味で今作は「ドウェイン・ジョンソンの無駄遣い」なんだが、
肉体自体が「映える」存在だから、
フツーに「B級アクション映画」として見れば
それなりの水準に達してしまうんだよねぇ…。
「マーベルユニヴァース」もコロナ(だけのせい?)で
迷走してる感じもあるが、
「DCユニヴァース」はカネが続かなくなってる模様。
CGグリグリの「ヒーロー映画」は、
曲がり角を迎えてしまったのかも…。

TheFirstSLUMDUNK(☆☆☆☆☆)
「週刊少年ジャンプ」の黄金期を支えた作品群の一つであり、
日本におけるバスケットボール観にいまだ大きな影響を与える
「SLUM DUNK」のCGアニメ映画。
それこそテレビアニメをやってた頃は
映画版のセルアニメもやってたわけだが、
今作ではプロバスケ選手によるモーションキャプションや、
手描き絵のタッチを生かしたCGアニメーションになってたりと、
技術面では当時とは隔世の感がある。
内容は、連載末期の名試合「対山王戦」である。
そして、今作の一番の特徴は、
主役が桜木花道ではなく宮城リョータにされている点。
その辺りや声優陣の変更で公開前は
ずいぶんと批判がなされていたようであるが、
さすがの出来の良さで公開されたらそういう声がぱったりとなくなった。
沖縄時代からの宮城の半生を追いながら、
湘北のチームメイトや対戦相手の山王の選手にも一部フィーチャーしつつ、
見事な盛り上がりの中試合が進んで行く。
試合内容は連載当時とおおむね同じなので、
当時しっかり読んでいた諸兄なら結末はわかっていると思うが、
ワシは久しぶりに観て「やっぱりよくできてるなぁ」と思わされた。
北海道が誇るプロバスケットボールチーム
「レバンガ北海道」は全く情けないありさまだが、
今作は本当に爽快な試合を見せてくれる。

日本原 牛と人の大地(☆☆☆)
こんな地名があることすら知らなかったので、
日露戦争後に旧軍が強制買収したことも、
それを自衛隊が引き継いでることも、
地元住民が「入会(いりあい)」して共同利用してることも、
全然知らずにこの映画を観てしまいました。
今作で追いかけてる内藤さんは、
入会地内で放牧、耕作している唯一の農民となってしまった。
聞けば最近は、演習地となっている現地では、
米軍との共同演習なども行われており、
以前のように自由に演習地内の「入会地」に
入れなくなってしまっているようだ。
そもそも内藤さんは、友人が安保反対運動の中で亡くなったことを
きっかけに医師の道を諦め日本原の農家に婿入りし、
抵抗の意味で演習地内を耕作していたのである。
今も、抗議運動を繰り広げているが、
現実は力のある方に都合の良いように進んでいく。
そうは言っても、国防を無視して国家が成り立つはずもないので
(そういう意味では、日本はそこでアメリカに首根っこつかまれてるわけだが)、
最近のようにあまり急激でなければ、
国際状況なんかを考えて防衛力自体は強化せざるを得ないわけで…。
今のようないびつな状況を作った戦後政治を、
本来はしっかり総括しないといけないんだろうけど…。

シグナチャー 日本を世界の銘醸地に(☆☆☆)
別に酒類に限った話ではないが、
「ものづくり」がテーマの映画とかを観てると
カンタンに感化されちゃうワシ。
今作では「甲州」というブドウの品種が出てくるが、
作中でも語られているように、
一説には奈良時代から統治に根付いている品種なんだそうな。
初めて知ったわぁ。
歴史的にブドウと深くかかわっている土地だけあって、
今作にも登場する麻井宇介(今作では榎本孝明)を中心に、
ワイン生産が盛んにおこなわれているのは、もはや周知の話。
今作では、麻井がメルシャンで培ったものを受け継いで、
安蔵光弘(平山浩行)が奔走する話。
もう一つ、ワインの添加物として亜硫酸塩を
「添加する」「添加しない」の話もあったが、
日本酒でも醸造アルコールを添加するしないが昔からあって、
その質に至るまで論争があるわけだが、
ワインに関しては飲み比べた事が無いので、
どのくらい影響があるのかわからないので、
今度の見比べてみたいかな。
ワイン好きには悪くない内容だが、
2023年にもっとすごいのが控えてるので、ねぇ…。

人生クライマー(☆☆☆)
今作を観た後に、栗城史多のNHKスペシャルを観る機会があったんだけど、
一見同じようにムチャをしてるように見えて
(山野井さんも指いっぱい失ってるし…)、
生きて山を下りるための「優先順位」に関しては、
やはり山野井さんの方がちゃんとしてるっていうか、
結局「誰のために山に挑むのか」って話なんだよね。
やっぱり、山って「自分と向き合う場所」だなって、
改めて思いました。
2023年に入って、ワシのホームマウンテン「手稲山」で
遭難事案が起こってるのは本当に残念だが、
ワシもさすがに冬山には挑戦しないから、
「ムチャしてるヤツがいるなぁ」というのが正直な感想です。
雪解けが進んだら、今年も懲りずに山登りたいですね。

ケイコ 目を澄ませて(☆☆☆)
聴覚障害者の女性(岸井ゆきの)がボクシングをやる、という今作。
確かに、耳が不自由なのだから、
セコンドの指示とかは全然聞こえないだろうが、
ジムの会長(三浦友和)が作中で言うように
「彼女は目が良い」そうなので
(その割には結構いいパンチもらってた気が…)、
会長から見れば「見どころがある」のだろう。
実際、五感の一つが不自由だと、他の感覚が鋭敏になるみたいなので、
「目が良」くなる可能性は充分にあるだろう。
ただ、彼女は自分の能力の限界云々ではなく、
どうもこのジム、特に会長やトレーナーと過ごす時間に
意義を見出しているように見える。
ゆえに、後半「会長が入院」したり「ジムを閉める」とかとなって、
彼女がボクシング、というかジムに向かう気持ちが
急速に萎えてしまったように、ワシには思えた。
ボクシング映画、というよりは師弟関係の一つの形として、
今作は観るのが最適解と見るが、どうか。

ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実(☆☆☆)
ホント、どんだけビートルズって擦られるんだろうかねぇ…。
まぁ、戦後音楽の一つの革新と言われてるグループだからねぇ…。
今作では、その中心とも言えるジョン・レノンの、
主にビートルズ結成以前の話が中心。
だいぶ家族関係が複雑で、
それが人格形成に一つ大きな影響を与えたんだそうな。
また、そういう時期を扱ってる作品だけあって、
友人関係の証言が豊富なのも新しい。
ジョン・レノンの見方がちょっと変わるかも…。

ラーゲリより愛を込めて(☆☆☆☆)
全力で「泣かせ」に来てる今作。
まぁ、最近ワシも涙腺が緩くなったようで、
決意に負けて泣いてしまったが…。
ただ、まずその「泣かせ」に来てること自体も問題だが、
もっと言うとタイトル自体にも疑問が…。
原作は「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」と、
映画館配布のチラシなどに小さくではあるが明記されている。
これと予告編を見合わせれば、
主人公(二宮和也)はまぁ死ぬんだろうな、
というのは容易にに察しが付く。
にもかかわらず映画のタイトルは、
その死をぼやかそうという意図しか感じられない。
今作のキモは、まさに原作タイトルにある
「遺書」の送られ方にこそあると思われる。
良い作品だとは思うが、原作にきちんと向き合っているのか、
疑問を感じる作品でもある。

ホイットニー・ヒューストン(☆☆☆)
歌声が本人による(おそらく過去の音源を使用)吹替らしいのだが、
まぁ確かにあのパワフルな声を出せる俳優がいたら、
それはそれでニュースになるっぽいので、
そこは致し方ないところか。
ただ、アメリカのミュージシャン名物と言っても過言ではない
「薬物問題」が彼女に降りかかる、
というか、彼女がデビューする頃はまだ寛容だったわけだから、
「気が付けば使ってる」状態なわけである。
その後、結婚したらしたで家庭内暴力で神経すり減らしてまたクスリ。
そして、その毒牙は彼女の一粒種にも…。
まぁ、ハッピーな結末じゃないことは知ってたけどね…。

消えない虹(☆☆☆)
14歳未満の少年は刑法犯にならないのが日本。
今作ではいくつかのそういった触法少年(&少女)を扱うわけだが、
事件が殺人なだけに、被害者遺族側としては
割り切れない気持ちがやはり大きいだろう。
一方で、ある意味贖罪の機会を与えられない
加害者側の心情に迫って行こう、
というのが今作のもう一つの視点なわけだが…。
やっぱり、日本には「赦し」のシステムが無いのが問題なのだが、
それ以前に身内を殺された痛みをいやすのは簡単ではないわけで、
かといって何かをしたら死んだ人間が返ってくる、
みたいなこともあり得ないわけなので、
被害者遺族は喪失から立ち直るしかないわけだが…。
一方、贖罪の機会を与えられないままの加害者側は、
どう先に進んで行ったらいいのか?
今作では明確な答えは出ていないし、まぁ答えなんかないだろうねぇ。
とはいえ、これをテレビでやっても、数字にはならないだろうし、
需要的に言っても厳しいんじゃないだろうか。
そういう意味では、非常に映画らしい映画と言えなくもない。

マッドゴッド(☆☆)
2022年8月鑑賞の「クリーチャー・デザイナーズ」にも出ていた
フィル・ティペット監督によるストップモーション・アニメーション。
制作30年&クラウド・ファウンディングによる資金集めにより
遂に完成、公開という運びとなったわけだが、
時間かけ過ぎたこと&監督の思い入れが強すぎたせいか、
「表現することに酔っている」ように見えてしまった。
内容も難解だったし、ちょっとグロかったし
(ある意味ちゃんとグロく見えてるのはすごいわけだが)、
万人受けの作品とは言えないだろう。

PIG/ピッグ(☆☆☆)
洋の東西を問わず田舎町
(ポートランドを田舎町と呼んでいいのかはわからんが)
には、「ヤクザではない町の支配者」というのがいるようで、
今作では元シェフで今はブタを使ってトリュフを採って
暮らしてるロブ(ニコラス・ケイジ)の取引先である
アミール(アレックス・ウルフ)と盗まれた豚を探すうちに、
町の支配者であるアミールの父と戦うことになるわけなんだが…。
最後の対決が、元シェフらしい方法で進んで行くのが面白いし、
その過程でロブもまたこの町の裏側に精通していることが
わかって行き、そのつてを使って盗まれた豚の手がかりを探す、
ロードムービー的な趣もある。
2022年の掉尾を飾る映画としては、若干物足りないが、
ニコラス・ケイジがなかなか体を張って頑張ってるのは好感が持てる。

« 「新・中央競馬予想戦記」 2023-01-29 | トップページ | 2022「勝手に映画賞」など »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 「新・中央競馬予想戦記」 2023-01-29 | トップページ | 2022「勝手に映画賞」など »

2024年2月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29    
無料ブログはココログ