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映画レビュー 2024/03/03~2024/03/21版

(3/3)オスカー・ピーターソン(☆☆☆☆)
最近は映画館の音響で音楽も堪能してる者です。
アルバムは、悪く言えば「全部同じ」、良く言えば「全部当たり」という、
抜群の安定感を誇る、「4本の手を持つ男」あるいは「カナダの至宝」、
オスカー・ピーターソンのドキュメンタリーである。
現代のプレイヤーによる演奏を挟みつつ、
オスカーの過去の音源や、オスカーの人生、人柄に触れて行く。
10代から始まるそのキャリア、忙しすぎて家族生活をまともに送れず、
妻に何度も逃げられ、黒人ゆえに差別にも悩まされ、
挙句脳梗塞でキャリアどころか人生終了に追い込まれるが、
最後の奥さん、その奥さんとの間に生まれた娘さんとともにリハビリに励み、
ついには復活を果たす。実に良くできた人生である。
ここまで完全燃焼できれば本望であろう。
もちろん、過去の音源、現代のプレイヤーの演奏も実に楽しい。

(3/4)漫才協会TheMovie(☆☆☆)
現在の漫才協会の話はもちろん、いわゆる「イロモノ」の戦後史や、
漫才協会の主戦場「東洋館」の話、果ては「幽霊部員」的な芸人さんの話など、
ゆるいけどゆるくない関東お笑い界を上手いこと切り取っている。
イマドキのお笑いに物足りなさを感じてる人の方が楽しめるかも。

(3/4)落下の解剖学(☆☆☆)
観るかどうか1週間迷って、結局観に行ったんだけど、
前評判通りの前編に漂う不穏な空気である。
関与者が圧倒的に少ない「実質的密室犯罪」。
容疑者は奥さんで、唯一の目撃者は視覚障害のある息子で、
弁護するのは容疑者とわりない関係にある男性。もう関連人物が不穏。
しかも、言葉が違うし、検察側は殺人だと半ば決めつけて攻め込んでくる。
そんな中、息子に証言させるために母子は距離を取らされ…。
ラストに至るまで、爽快感ゼロで、モヤモヤ感しか残らない、
アカデミー脚本賞に相応しい作品…、
と、1ヶ月経ったワシにはどうにも言いにくいんだよなぁ。理由は後述。

(3/4)リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング(☆☆☆☆)
ミック・ジャガーやデヴィット・ボウイ、果てはエルヴィスすらも真似たという、
「ロックンロールの源流の一つ」リトル・リチャードのドキュメンタリー。
「黒人」というだけで厳しい差別を受ける時代において、
彼はなおかつ「ゲイ」でもあるという、厳しいパーソナリティを持って生まれた彼だが、
陽気なキャラを演じつつ、後にエルヴィスもカバーする
「トゥッティ・フルッティ」でデビューすると、
大胆なパフォーマンスでファンを掴んで行く。
一方で、黒人であるが故にレコードの売上は思うように伸びず、
カバー先(エルヴィスやパット・ブーン)の方が売れるという、
彼にとっては心身穏やかじゃない状況が続く。
一時ショウビズの世界から身を引き、ゲイであることを隠して牧師をやるが、
暮らし向きが良くなるはずもなく…。
とはいえ、冒頭に述べたように、彼の影響を受けたミュージシャンは数多い。
言うなれば、彼は早すぎたのだ。
多様性が叫ばれる今、改めて取り上げられるべき人物の一人だろう。

(3/4)マッチング(☆☆☆)
土屋太鳳演じる輪花がチョロすぎてちょと萎えるが、
それ以上に彼女の周囲の人間たちがいちいちタチが悪過ぎる。
まぁ、日本人が総体として他者を信用しやすい、っていうのも問題があるんだけど、
こういう作品を何も考えずに楽しんでるっていうのもねぇ…。
もう少し問題意識持っても良いと思うんだよねぇ。

(3/7)アーガイル(☆☆☆)
「キングスマン」と同じ監督の、というより「同じユニバース」の作品、
とか言ってる時点で既に少し問題がある作品。
英国系スパイフィクションの両極「007」と「オースティン・パワーズ」が
ともに機能してない状況なので、その中間勢力がいろいろ出てきてるが、
キングスマンユニバースは基本的にフィクションで、ヴィジュアルも若干ケバい。
作中でもネタにしてるが「忍者服を年中着てる忍者など存在しない」のである。
かえって目立ってしょうがない。
それを「キングスマン」以上に堂々とやってるので、
物語の構造的に言っても若干やりすぎ。
そして、今作も騙す陣営がタチ悪い。
まぁ、主人公にもそれを覆す秘密があるわけだが…。
世の中がきな臭過ぎて、
スパイフィクションがリアルに負けちゃってるっていうのもあるのかもだけどね…。

(3/8)ディス・マジック・モーメント(☆☆☆)
国内で活動するマレーシア出身のリム・カーワイ監督が、
日本全国のミニシアターを巡るドキュメンタリー。
ミニシアターは、独立資本系ばかりなので、
純粋に作品性を評価して上映作品を選んでることが多い
(各地の事情でそうでない作品もあるが)が、
それが周辺住民から評価されて、鑑賞に来てくれるかはまた別の話。
ワシは興味があればわりと何でも観に行くクチだが、
世の中はそうじゃない人の方が多いだろうから、集客に各地苦労してる様子。
今は配信もあるから…、なんて話も当然あるだろうが、
「色数の多すぎるいろどりは、人の目を見えなくする(老子)」なんて言葉もあるから、
埋没する可能性も高い。
まして、音響などを考慮すると…、映画館という場所で限られた期間にしかやってない、
という希少性も大事にして行きたいと、ワシは思うんだけどねぇ。

(3/11)ゴールドボーイ(☆☆☆)
アジア最高峰ドラマの原作小説を日本向けにローカライズして映画化した今作。
「やべー大人」と「やべー子ども」の駆け引きなんてのは、
国産小説では確かにそうそう見られるものではないが、
ラストまであまり日本映画らしくない(最近は全く無いわけではないが…)
モヤモヤendにしなくてもよかったのでは…。
今の時代、子どもだからって無条件で信用しない方がいいよ、って話。

(3/13)ドッグマン(☆☆☆)
「リトル・リチャード」の中で
「クィア(本来蔑称だし訳しにくい言葉だが、あえて言えば「変態」)」
という言葉が出てきたが、
今作の主人公は異常な家庭環境から這い上がるために
そういったコミュニティに近付いた、とも言える。
下半身が不自由だが犬とコミュニケーションが取れる、
という特殊能力(?)と記憶力で裏社会に地歩を築いたが、
ギャングに目をつけられ…、
という状況でソーシャルワーカーに自分の半生を語り、その再現映像が流れていくのだが…。
主人公は悪い人間ではないが、
家庭環境ゆえか人間不信だし何より犯罪者(まぁ仕方ない面はあるんだが…)。
まして、ギャングに目をつけられたわけだから、
筋としてはこういう話になっていくのは仕方ないが、道具立て以外に目新しい要素は少ない。
まぁ犬ちゃん達が健気だねぇ、ってだけの作品。

(3/18)デューン 砂の惑星 パート2(☆☆☆)
パート1よりさらに大仕掛けになったが、基本的には3部作の真ん中で締まりの悪い結末。
そして主人公ポール(ティモシー・シャラメ)がまあまあクソな感じに
仕上がり始め(どうせもう一つ2つ転がる話なんだろうけど)てるので、主人公も魅力半減。
何より「スターウォーズ」とか「スタートレック」とかを
さんざん通り過ぎてきた人間からすると、「今更感」がどうしても漂ってしまうのである。
パート3、まあ観ますが…、あまり期待しない方が良いのかな。
今までもそんなに期待してないけど。

(3/19)Will(☆☆☆☆)
まぁねぇ、きっかけなんてホントのところ何でも良いんですよ。
今作に関して言えば、「猟師もやってる俳優東出昌大」
のドキュメンタリーっていうのがとっかかりだったわけですが、
例えば我が郷北海道では鹿や熊が人里に平気で降りてくる現状があるわけです。
そういう業界でもある意味広告塔にされる「東出昌大」だったり、
猟師が狩った動物もおそらく食品衛生法とかの兼ね合いで、
喰われてるのは全体の1割ほどという現実(まぁ食中毒怖いしねぇ)、
あるいは「食べることは命をいただくこと」という現実とどう向き合うか。
そういうことを、こういう作品から突然向き合う羽目になるというのがねぇ…。
なかなかの拾い物。

(3/19)マイホームヒーロー(☆☆☆)
テレビ版からの続きではあるが、あらすじは最初にやってくれるし、
作中でも必要に応じて出てくるので、いきなりでも大丈夫。
でも、主人公鳥栖哲雄(佐々木蔵之介)と同級生だった
正義漢の暴対班刑事(立川談春)が死んだ辺りから、わりと話が見えてしまったので、
警官になった娘さん(齋藤飛鳥)不憫やなぁ、ぐらいな感じになってしまった。
まぁ、哲雄自身過去の罪に対する呵責があるので、
迷いながら真相に迫ろうとするんだが、まぁラストの落とし所はあんなもんでしょう。
ただ、あまり家族である必然性が無いのがなぁ…。
アメリカでリメイクしたら、どうなるんだろうかなぁ…。

(3/19)ボブ・マーリー(☆☆☆)
コレの前に「ナワリヌイ」の追悼上映も鑑賞したんですが、
まぁそれだけなのでノーカウント。
「Will」同様、とっかかりなんてホントは何でも良い、な作品。
まず、タイトルに偽りあり、って話。
基本的には、1979年7月の「第2回レゲエ・サンスプラッシュ」の模様を
数人のアーティストにスポットを当てて編集したもの。
分量的には3グループほぼ一緒なので、
ボブ・マーリーを特にフィーチャーしてる作品ではない。
まぁ、有名だからタイトルにしたんだろうけどね。
まぁ、まんまと引っかかったワシなわけですが…。
その代わり、「レゲエの精神性」みたいなものを、
当地のアーティストが掘り下げてくれてるので、
レゲエに対する理解が深まる作品に仕上がってる。
ボブ・マーリー目当てで観に行っても良いんじゃないかな、って作品。

(3/19)12日の殺人(☆☆☆☆)
「落下の解剖学」が☆x3止まりである原因の作品。
何と言っても、今作は実話ベースなのが強い。
結局、事件の捜査をしてるのは「人間」であるということが今作の、
いや全ての事件捜査のキモである、ということを再認識させてくれるのだ。
しかも、今作で捜査してる刑事はほとんどが男性。
これは洋の東西を問わないだろうが、
現実の警察も多くはいまだに男社会な所が多いだろう。
そういう環境で、今作のような被害者が出て、関係者の多くが男性だったら
「被害者は尻軽女」みたいな結論に達するケースが多いのではないだろうか。
「落下の解剖学」でも検察側の先入観に基づく尋問が続くが、
真相究明においてこの「先入観」というものの厄介さを
改めて思い知らされる作品となっている。
今作が下敷ききした事件はいまだ未解決らしい。
作中の描写が正しければ、事件発生から結構な年月が経過している。
真相究明は…、ちょっと難しいかな。

(3/20)カウント・ミー・イン(☆☆☆☆)
ドラマーにフォーカスを当てたドキュメンタリー。
ラストのセッションはとにかく圧巻である。
現代のプレイヤーが影響を受けたドラマーの凄さや、
ドラム専門店の店主(元ドラマーでもある)、
さらには現役プレイヤーの「初めてのドラム」話や、
一般の子たちの「初めてのドラム」の実に無邪気な映像など、
意外と気楽に観てられる異色の仕上がり。

(3/21)変な家(☆☆☆)
もともとの意味と違う「変な家」の話に仕上がった今作。
そういう点でも賛否両論ある作品になったが、
本来の「間取りの面白さ」がそこまで活かされてない、
という意味では残念かも。
商業的にはこういうアプローチの方が正解なんだろうし、
確かに面白く仕上がってるとは思うが、
「セクシー田中さん」事件以降ということを考えると
「コレで良いのか?」「原作者はどう思ってるんだ?」
とかいった雑音が混じることもまた確かだろう。

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