ハルキさん、口が過ぎましたなぁ
リンク: 村上春樹が東電と「効率社会」批判 スペインでのスピーチ内容に賛否両論 - 速報:@niftyニュース.
村上春樹氏がスペインで受賞講演を行い、
それが賛否両論巻き起こしているようです。
ワシもテレビなどで一部聞きましたが、
正直ちょっとおかしいかなと思い(要するに「否」の側に属するわけですが)、
ちょっと精査してみようかと思い筆を取りました。
第1節の以前行ったバルセロナでのサイン会の話は、聞き流していいでしょう。
第2節の、つまり原発の話の前までの話は、
正直寺田寅彦も同じようなことを言ってます(「日本人の自然観」)ので
特段の驚きもないですし、
むしろあまりしたり顔で言ってもらいたくないぐらいの話です。
皆さんがおそらく問題にしているのは、第3節の原発絡みの話だと思いますが、
まぁ、話自体は否定するつもりはありません。
しかし、これもあまりしたり顔で言って欲しくないと言うか、
事が起こった後なら誰でも言えるレベルの事を言ってるに過ぎないと思います。
原爆と一緒にするのは…、と言っておられる方もいるようですが、
汚染源自体は同じなので一緒くたにされても文句は言えないと思います。
私が問題にしたいのは、実はここではなく、彼が「効率」を否定する点です。
私は、文筆家が効率を否定する事が、どうにも解せないのです。
文筆家と言うのは、社会の余禄で生計を立てていると、私は思ってます。
そして、あなたの否定しようとする「効率」は、
まさにその社会の余禄を生む原動力なんじゃないでしょうか。
原発導入のシナリオも、オッペンハイマー博士の言も、
確かにもっともだと思います。
しかし、社会の余禄を食んでそこまで高名になられたあなたが、
その源泉たる「効率」を「安易な基準」と断じて、
果たして良いものなのだろうか。
あなたの本を作るための輪転機を動かすために電気は必要だし、
そもそも紙を作るだけで、大量のエネルギーを消費している。
あまねく世界にあなたの本を供給するためには、
非常に効率化された輸送、通信システムが不可欠である。
それを百も承知で、それでも効率を安易な基準と断ずるならば、
自ら紙を漉き、1枚1枚直筆で丹精込めて、1冊1冊本を作ればいい。
我々文明人が、効率を軽視することなど、あってはならないのである。
それは、進歩と革新の軽視であり、ひいては現代の否定でもあると、私は思う。
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