映画 「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」

キャスティングはとても一流とは呼べないが、
脚本は示唆に富んでいて良い。
ややベタ気味ではあるが、
登場人物もクセモノだらけで、
ちゃんとエンタメエンタメしてるのも好感が持てる。

この国じゃあ、学歴>スキル>資格だから、
主人公のマ男(小池徹平)みたいな高校中退が、
生半可なスキルを持っていたところで、
マトモな企業は相手にしてくれない。
だから、こんなブラックな会社でもしがみついてないと、
生活が送れなかったりするわけで…。

定時が都市伝説だったりするのも、日本の良くないところ。
本来なら、全員が定時に帰れるように
雇用しなければいけないはずなのだ。
しかし、効率化やコストダウンという圧力に敗北して、
手近な人件費を削る。その結果がサービス残業。
そんなに働かせたら、カネを使う暇もありゃしない。
そりゃ需要と供給のバランスも崩れますわなぁ。
今や消費=浪費、つまり無駄遣いで世界が回ってる
ような世の中なんだし。

ワシは「今日死ぬ気で働いたら、明日それ以上で働かされる」
と思ってる人なので、
こんな会社に勤めたら即辞めますけどね。
あってはならない話だけど、
神様も働く日本なら充分ありうる話。
こういう会社に乗っかってる一流企業が一番悪いんだろうけどね。

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映画 「イングロリアス・バスターズ」

なんとテンポの悪い、間だるい映画だろうか。
タランティーノって、こんな映画を堂々と送り出せるような、
厚顔無恥な映画監督だったのか。

前半の因縁の付け方は、そんなに悪くなかった。
しかし、既にテンポは悪い。
余計なことに時間を使いすぎなのだ。

いちおう全部観たけど、
はっきり言って前半で帰って良かった。
後半の、先が読める展開は、ホントにタイクツ。
若干、カネ返せ的な作品で、
2時間半弱の映画が長く感じたほど。

『笑う警官』もそうだけど、
監督の名前が前に出てくる映画は、
そのネームヴァリューに頼った宣伝だということ。
監督の個性って何なんだろうか。
とにかく、まったくキレのない、
ただ無駄に人が死ぬ映画。
今年1,2を争う駄作。

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映画 「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」

現代は、夢を見るにもお金が必要な時代。
それを「せちがらい」と言うのはたやすいが、
それでも夢を見続けてるやつらがいた。

「アンヴィル」と言うメタルバンド。
1984年(当時ワシ9歳)には
日本でボン・ジョヴィなんかと一緒に来日して、
スタジアムライヴもやってる。
一緒に来てたバンドはみんなメジャーに羽ばたいたのに、
アンヴィルだけは25年経った今でも泣かず飛ばず。
それでも仕事しながらバンド活動はやめないで、
いちおうヨーロッパツアーなんかにも出かけてたりする。
だからと言ってまともなギャラを稼げるでもない。
最後の望みに、むかし世話になった
プロデューサーにデモテープを送って、
なんとか再起を誓うのだが…。

アンヴィルのギター&ヴォーカル「リップス」と、
ドラムの「ロブ」は結成以前から無二の親友であり、
その付き合いはかれこれ30年を超える。
すっかりオッサンしてしまってる2人だが、
不滅の友情とロック魂で決して夢は諦めない。
周りには家族がいて、ファンがいて、
暖かく(あるいは呆れながらも)彼らを見守っている。
日本なら間違いなく『あの人は今』みたいな
しょーもない企画で終了ってところだろうが、
この二人がいっこうに腐ってないっていうところに
救いすら感じさせる。

人生がうまく行ってないと思ってる人はぜひ観るといいと思う。
成功よりも、お金よりも大切なものが、
何か見つかるかもしれない。

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映画 「笑う警官」

オープニングとかエンディングとか
バー「ブラックバード」の雰囲気とか、
ハルキさんはスマートな
アメリカンサスペンスをやりたかったんだろうと
私は思ったんです。
でも、人間関係がいちいちウェットで、
話が展開していくうちにどうしてもドロドロしてしまってる。
結果として、私感としては歯切れの悪い結末になってしまっていて、
観た後の後味がいまひとつ。
「ジャズの間を生かした台詞回し」とか言ってるけど、
逆にたどたどしくなってしまっていて、
演者がモノにしてない感じ。

警察の暗部をえぐり出すだけなら、
小者揃いで救いが無いけど
『ポチの告白』の方が表現も直截で生々しかった。
そういう意味で言うと、
スマートにやろうとしたことが
むしろ裏目に出てしまってるわけだが。
むしろ、「人間の弱さ」を全面に押し出した方が、
他の作品と差別化できたんじゃなかろうか。
原作の切り口が面白かっただけに、
映画としては少々残念な作品。

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映画 「キング・コーン」

我ら「お米の国」日本人はともかく、
アメリカの食文化の大部分を
とうもろこしが占めているといっても、
過言ではない。
揚げ物に使うコーン油や、
コーンフレークのようなシリアル類だけではない。
畜産の飼料(食肉や牛乳に関わる)や、
甘味料の原料としてもとうもろこしは使われている。
それに飽き足らず、プラスチックやバイオエタノールといった、
食用以外の用途にまでとうもろこしは進出している。
今作は、そんなとうもろこしが生まれてから
消費されるまでを追いかけたドキュメンタリーである。

興味深いのは、主人公のイアンとカートの先祖を辿りながら、
アメリカの農業史や農政まで見られるという作り方。
何のことはない、アメリカ農業も補助金無しでは成り立たないのだ。
そしてアメリカも、つい3、40年前まで生産調整に
その補助金を使っていたというのだ。
しかし政策転換以降、
それまで向上していた生産性に歯止めがかからなくなり、
100年前1エーカー当たり1トン取れれば豊作だったとうもろこしが、
今や5トン取れて当たり前となり、
そのため余ったとうもろこしが粒のまま野積みされているのだ。
もちろんそれは、人間の食用ではない。
しかも遺伝子組み替え済みである。
しかし、ここからがアメリカ政府の偉いところ。
余った分の使い方をちゃんと考えてやることである。
輸出、バイオエタノール、プラスチック。
こういった用途は、
余剰とうもろこしの行き先として考えられたのだろう。
それを買わされてるのは、例えば日本だったりするんだろうけど。

もはや、これらアメリカのとうもろこしは食品というよりも、
工業資源に近い。人畜無害とはもはや言い難い。
例えばとうもろこしの飼料だけで育った牛は早死にするらしい。
それに『未来の食卓』でも見たように、
アメリカから飼料を輸入するということは、
それだけで環境にダメージを与えている。
しかも、甘味料や食肉という形で日本人も
間接的にアメリカのとうもろこしを摂取し続けているのだ。

ただ、何も悪い面ばかりを提示しているわけではない。
安く、しかも簡単に食料を生産できるようになったことで、
エンゲル係数は確実に下がり、
少なくとも先進国の多くの民衆は、
以前より確実に贅沢な生活を営めるようになった、
と作中で政策転換した当時の農務長官は言っていた。

日本の農政に携わる人達も、
日本農業をどうしたいのかちゃんと考えてほしいものだ。

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映画 『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(バプリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1&Part2』

本来2部構成の映画なのだが、
劇場の公開スケジュールの都合で、
ほぼ15分ほどのインターバルを置いての
2部構成一気鑑賞で、
結果的に4時間超の大作扱い。

「ダークヒーロー」とか、「アンチヒーロー」と呼ばれる存在がある。
『水滸伝』から『ゴッドファーザー』まで、
少なくともフィクションでは枚挙に暇がないだろう。

しかし今作は、12月公開の『パブリックエネミー』と同様、
実在の人物を基にした作品。
『パブリックエネミー』が戦前のアメリカ人であるのに対し、
『ジャック・メスリーヌ』は戦後のフランス人である。

時系列的な始まりは、1959年のアルジェリアから。
やはり、『いのちの戦場 -アルジェリア1959-』
公開の影響があるのだろうか。
戦争から帰ってきたジャックが、
悪友とともに悪の道に染まり、
やがて伝説的な犯罪者として名を挙げるまでが『Part1』の内容。

強盗、殺人、脱獄と、
ハチャメチャもここまでやりきれば
庶民にとっては逆に憧れの存在になりうるのだろう。
なにせ、彼が狙う相手は銀行や富豪など、
庶民の敵となりうる存在ばかり。
そして彼もまた、「パブリックエネミー」と呼ばれるわけだが、
この意味を改めて考え直さねばなるまい。
「パブリック」って誰やねん、と。
おそらくそれは政府であり、金持ちのことであるだろう。
そしてジャックの活動が野放しにされる限り、
庶民は警察の無能をあげつらいつつ、ジャックを賞賛する。
政府にとって、こんな厄介な存在が存在するだろうか。
それゆえの「パブリックエネミー」なのであろう。

『Part2』ではジャック・メスリーヌが
本格的な悪党として本を出したり雑誌の取材を受けたりと
日本ではちょっと考えられない現象や、
挙句に国家転覆まで夢想するという、
大物なんだか、壊れてるのかよくわからないことまで言い出す。
まぁどっちにしても、
日本ではマズ出てこないタイプの
犯罪者であることに変わりないだろう。
今逃げてる市橋容疑者だって、
整形の資金稼ぐために大阪に潜伏してたり、
何度も整形してまで逃げているというところに
心意気を感じなくもないが、
ひっそりと時効を迎えてそのままなんとなく生き続けるか、
捕まって檻にぶち込まれるかのどっちかしかないだろう。
それに比べてジャック・メスリーヌの生き方は、
決して褒められたものではないが、華がある。
女、金、犯罪。
彼のような存在を「時代のあだ花」と呼ぶんでしょうねぇ。
本家『パブリックエネミー』を観る前に、
観て置いて損はない一作といえるだろう。
欧州とアメリカ大陸を股にかけた活躍(?)ぶりは、
本家『パブリックエネミー』を凌ぐスケール。
二部構成もうなずける内容と言えなくもない。

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映画 「未来の食卓」

ドキュメンタリーゆえに抑揚のない展開ではあるが、
日本にとって示唆に富んだ内容。
地方行政における元首の裁量の範囲。
日本で挫折した「総合教育」の在り方。
食育の方法論。
国家としての農業政策の在り方。
今やUNESCOですら問題にしている「食の安全」問題。
日本でもその取り組みは行われているところもあるが、
やはり国家の農業に対する補助金の使い方に、
問題解決のキーがあるようだ。
日本の農林水産省が自給率のことをことさら問題視するのは、
あくまでもカネを引っ張ってくるため。
「食の安全」のことなんかマジメに考えてるんだろうか。

食料自給率で言えば高い部類に入るフランスでも、
いやそうであるが故なのか、農薬問題は深刻なようだ。
自給率は大事だ。
地産地消はもっと大事だ。
輸送するたびに空気を汚してる。
輸送中の腐食を防止するために大量の農薬や保存料が使われる。
少なくとも体にいいことなんてひとつもない。
これを観たら、食生活に対する関心はもちろん、
農業に対する考え方も少しは変わるかも。

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映画 「風が強く吹いている」

ベタまたベタの連続ではありますが、
不覚にも涙腺が少し緩んでしまいました。
テレビでしか観たことないけど、
『クールランニング』を観た時のような、
清々しい感動を得ることができました。
実際の箱根駅伝はライヴですから、
いちいちこんなセンチメンタリズムに浸っていられませんし、
だいたい展開が緩慢で飽きてしまいます。
そういう意味で言えば、
駅伝のすばらしさを凝縮した快作と言えるんじゃないでしょうか。

むしろ、日テレ辺りが主導権を握って作ってないという点が、
逆に腑に落ちない。
実際の過去の箱根駅伝のものと思われる映像や、
日テレのアナウンサーが出てるのに。
『カイジ』なんかより、こういう映画にカネ使えば、
企業イメージだって少しは上がるだろうに。

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映画 「母なる証明」

息子の無実を信じて事件の真相に迫る母親。
その先にある真実とは…。
とまぁ、これ以上書くとネタバレになるので止めますが、
良くも悪くも見事に期待を裏切ってくれる映画。
そして後味が悪い。結局謎が残ってしまうから。

とりあえず、邦題がおおげさだと思います。
普通にミステリー映画だと思って観た方が、
精神衛生上は良いと思います。
映画としてはこれで良いと思いますが、
期待して観に行くと多分相当モヤモヤすると思います。

人間、やっていいことと悪いことがあると思います。
ワシはこの親子のこと、許せません。
こういうのを「溺愛」って言うんだと思います。
こういう親になっちゃいけないと思います。

と、こう書いてるワシは、
本当の愛を知らないだけなんでしょうかねぇ…。

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映画 「正義のゆくえ」

移民が作った国アメリカ。
そのためもあって、今も移民は絶えないようだ。
正規ルートはもちろん、不正規なルートでも。
そんな移民達の交差点ロス・アンゼルスを舞台に、
移民管理局の仕事ぶりを追うのがこの作品。

ノリは、日本で言えば「はぐれ刑事純情派」みたいな感じ。
情に篤い捜査官マックス(ハリソン・フォード)と、
移民出身の部下が話の中心だが、
もちろんさまざまな移民たちが、
さまざまな事情を抱えて絡んでくる。
このままTVシリーズにしても良さそうな出来で、
人情大好きの日本でも案外流行るかも。

さすがに今作ほど極端ではないにしろ、
アメリカではこういったことはわりと日常的なのだろう。
陸地に国境線が引かれてるわけだし、
国境警備隊が国境を守ってもいる。
移民管理局が存在し、
アメリカでグリーンカード(永住許可証)が
一種のステータスになっている以上、
不法入国やカード偽造が商売になるのも仕方ないことだろう。
それでも人々がアメリカを目指す理由。
それは、ドライでも商取引的に移民を許可し、
国を強める努力を惜しまない国であると、
アメリカが世界に認知されているからだと思う。
損得でしかモノを量らないのかと言われるかもしれないが、
逆に言えば非常に明快な価値基準とも言える。

少子化が叫ばれる日本。
特にスポーツ界においては帰化は何例もあるし、
その一方で不法入国問題も確実に存在する。
それらに対して日本という国家は、
アメリカのような明快な答えを指し示すことができるのだろうか。
そういうことを考える上では、
入門編となりうる、以外と娯楽的な作品。

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