この道(☆☆☆☆)

最近、結構な頻度で音楽系の映画を観ているが、今回は珍しく邦画。
『不道徳お母さん講座』という本でも触れられていた北原白秋と、
彼の詩に惚れ込んで曲を付けた山田耕筰のお話。
『不道徳〜』で白秋に関しては多少予習してたので、
前半の彼の行状は織り込み済み。
「童謡100年」を記念して作られた作品だけあって、
随所に童謡の歌詞が出てくるし、
メインはタイトル通り童謡「この道」になっている。
治安維持法や「守ろうとすればするほど壊れていく」
といったセリフに、現政権への批判めいた話が出てくるが、
基本的にはそう重苦しい話ではないので、
冬休み向けの映画と言えるだろう
(前半の白秋の放蕩ぶりは、あまり道徳的ではないが…)。
『不道徳〜』で白秋に興味を持ったのもあって観に行ったが、
与謝野家との絡みとか、より興味が深まった。
テレビドラマ向けの人物じゃないから、
小説向け(瀬戸内寂聴著の『ここ過ぎて』)の人物と言えるだろう。

ワイルド・ストーム(☆☆☆)

「B級があるからA級がある」と以前から言っていることだが、
B級映画でも惜しみなくカネを使ってくるところがハリウッド流。
CGの出来だけで言えば、
「デビルマン」や「ガッチャマン」と言った邦画なんかより相当良い。
内容的には、銀行よりもカネが集まってる政府機関から
直接カネをぶっこ抜くだけの話なのだが、
登場人物を見ると、主人公陣営にも敵役陣営にも兄弟がいる。
ココもっとフィーチャーするべきところだったんじゃないかなぁ。
それとも、脚本の時点ではそうだったのに、
「オトナの事情」で出来上がってきたのが今作なんだろうか。
要素的には悪くない
(兄弟同士の戦い、嵐が迫る中で強盗をはたらく、気象学者vs強盗団…)
と思うんだけど、「ザ・B級」にしか仕上がらなかったところが
今作がイマイチ弾けなかった原因と言えるだろう。

バグダッド・スキャンダル(☆☆☆)

結果的にサダム・フセインを排除することとなった
「イラク戦争」と前後して、
「フセインのイラク」を監視しながら人道支援しようという、
ムシのいいプロジェクトを考えた人間がいた、という話。
今作では、「一時しのぎ」と考えられていたこのプロジェクトの、
贈収賄疑惑の真相に迫る作品。
国連主導で行われたプロジェクトで、フセインも、
世界中の企業や官僚も私腹を肥やしていたという、
とんでもない話なのだが、それすらエンタテインメントにしてしまうのが、
ハリウッドの懐の深さというか…。
日本じゃ「忖度」とかがすぐに働いて、
「太陽の蓋」みたいな中途半端な作品にしかならないんだよねぇ。
とはいえ、今作とて「すごく面白い」わけではない。
まぁ、面白おかしく語るような内容でもないんだが、
かろうじてドキュメンタリーではない、という程度の出来。
大きな利権が動くところには、汚職がつきもの、という話ではある。

ホイットニー ~オールウェイズ・ラブ・ユー~(☆☆☆☆)

人生っていうのは「どれだけ生きるか」ではなく「どう生きるか」だと、

改めて思い知らされた。

一見幸せそうな家族の中で育ったホイットニー。

しかし実は、両親が仮面夫婦で、共働きで、そ

のせいで親戚や知り合いの家を転々としてて、

その中で性的虐待を受けてきたという「子供時代の闇」を内包していた。

聖歌隊を経て、親と同じショービズの世界に躍り出た彼女は、

その才能を遺憾なく発揮して「世界の歌姫」となったわけだが、

親友や父親が彼女の稼ぎを巡って暗闘。

事実上の家族経営となり、

兄弟や親戚が彼女が生み出す富にぶら下がるようになってきた。

さらに、ボビー・ブラウンとの家族生活と、

上り詰めた者が味わう孤独。

そこに忍び寄るアメリカショービズ界の闇「ドラッグ」。

エリック・クラプトンのやエイミー・ワインハウスの時も出てきたけど、

なかなかそこはクリーンにならないんだねぇ。

末期の彼女の声はある意味必聴である。

イット・カムズ・アット・ナイト(☆☆☆)

直訳すると「それは夜やって来る」となるので、

『来る』が比較対象になりうるが、

今作では冒頭で「それ」について言及(どうやら不治の病)するので、

まぁ別物と考えるべきだろう。

ただ、「それ」の恐ろしさについての言及が無いので、怖さのポイントが、

「不治の病に恐怖する人間たちの精神が病んでいく様」の方に

どうしてもフォーカスされてしまう。

そこから本筋と言うべき「不治の病の怖さ」に戻されるのだが、

具体的な対策が無い以上、「怖がってても罹るものは罹る」ので、

「疑心暗鬼の人間たちが他人とどう接していくのか」

だけの映画になってしまってる。

まぁ、それはそれで怖いんだけど、

ココまでのシチュエーションが必要とも思えないし、無駄な描写や死人も出る。

深読みすれば、

「極限の状況に慣らされて、主人公の父親のとる行動を容認している自分」に

気づくのが一番怖いのかも…。

それだけが、僕の世界(☆☆☆☆)

内容的には『海洋天堂』に近いので、

あそこまでの鮮烈さはないものの、『海洋天堂』よりも大きな話になってる

(事故で片足を失ったピアニストを立ち直らせるとか)ので、

正常進化と言ってもいいかもしれない。

コレらから観ると、『こんな夜更けにバナナかよ』なんて、

障害の性質こそ違うが、健常者から無料で労働力むしり取って

ワガママ言ってるだけに見えなくもない。

『海洋天堂』では父が死に向き合って死後自閉症の息子が

自立できるように万策尽くすし、

今作では自閉症の弟がたいした才能の持ち主で、

その手助けをする人も出てくると、フィクションならではの

やや出来過ぎな展開もあるが、

「自立のためには障害者だってカネが要る」っていう現実を直視している。

『バナナ』は、古株のボランティアの話も全然掘り下げてない

(少なくとも映画の中では)ので、実話なのに…、な出来に見えてしまう。

『バナナ』より、コッチの方が出来過ぎだが見ごたえはある。

こんな夜更けにバナナかよ(☆☆☆☆)

まずタイトルがいただけない。
「愛しき実話」なんてエクスキューズがまず蛇足。
まぁ、基本的にはいい話なんだけど、15年以上前の原作(出来事自体は四半世紀前)
今だに「いい話」だという事実がむしろ問題。
「アメリカ旅行に行きたい」なんて夢を語るシーンがあるが、
もうおととしの話になるか、奄美空港で障害者が自力でタラップを這って上がらせる、
なんて話があるぐらいだから、主人公の「命がけのわがまま」は
思うほど世の中に響いてないということだろう。
もっとも、主人公も他人の善意に依存して「自立」と称する
ワガママ三昧をはたらいてるわけだからねぇ…。
タイトルのエピソードなんて、1994年当時の状況を考えれば
「千両みかん(落語)」ほどではないにしても、健常者が言ったって
なかなかのワガママだと思うんだけどねぇ。
グッドウィルの話もそうだけど、こういうことにカネが発生しないこの国って、
本当に度し難いと思う。

2019年、映画レビュー復活させます&まとめて「勝手に映画賞」

2016年末から何となくやらなくなってた映画レビューを、
来年から復活させます。
大みそかに宣言したのは、元日から鑑賞予定があるからです。
予定としては、ダラダラ書かず、
原稿用紙1枚分(約400字)程度の容量でやって行こうと思っております。

で、ココまで放っておいた3年分の「勝手に映画賞」3年分の、
ベスト&ワーストだけでも発表しておこうかと思います。

2016年(鑑賞本数:213本)
 ベスト:日本でいちばん悪い奴ら
 ワースト:秘密 THE TOP SECRET
2017年(鑑賞本数:213本)
 ベスト:あぁ荒野
 ワースト:グレート・ウォール
2018年(鑑賞本数:212本)
 ベスト:SEARCH
  (「ボヘミアン~」とか「カメ止め」とかは、「勝手に映画賞」らしくないので…)
 ワースト:検察側の罪人

こんな感じで、また来年から、よろしくお願いいたします。

映画 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(☆☆☆)

○スター・ウォーズワールドの象徴である、ダース・ベイダー(≒フォース)と
デススターの圧倒的パワーを堪能できる
○フォースがなくても充分強いチアルートことドニー・イェン
○潔いラスト
△「フォース」の扱いが、とても宗教じみてる
×やや展開が雑
×結果、予備知識が必要

映画 『海賊とよばれた男』(☆☆☆☆)

※『イブニング』連載のマンガ版で予習済
○コレは良い端折り方。戦後のエピソードに絞って、不要なところを大胆に
カットしてるのは評価できる
△国岡(岡田准一)さん、戦前のやってることは「ヤ○ザ」ですが…
△てゆーか。長谷部(染谷将太)は完全に「ヤ○ザ」だし…
△孤高を貫くという態度には、いちおう感服するが、その考え方が会社から
柔軟性を奪ってるのだとしたら、それはそれで問題
△出光佐三が今も出光の行状を見て、どう思うんだろうか…
△必死に百田尚樹(原作者)隠しを行っていたが、むしろ周辺の不穏さを
露呈しただけなんでは…

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